全国各地のYEGメンバーが出向し、構成する日本商工会議所青年部(以下、日本YEG)。コロナ禍の2022年、数少ない出向者であった桐生商工会議所青年部(以下、桐生YEG)のメンバーが、政策提言委員会の席で茂原商工会議所青年部(茂原YEG)が手掛ける「経営女子会」の取り組みの素晴らしさを耳にした。それを機に、他単会との交流の輪が誕生。桐生YEGによる経営女子会の歩みについて取材した。
茂原YEGとの出会いで 新たな事業を発進
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動制限が続く2022年、日本YEGに出向していた桐生YEGの安田信達さんは、茂原YEGでは同YEGが運営する「経営女子会」の活動をきっかけに、女性メンバーが増え、単会としても活気のある組織に成長を遂げているという情報を耳にする。一体どんなことを、どのように開催しているのか全貌を学ばせてもらいたいと、23年度会長の正田智子さんらは茂原YEGを訪問した。
茂原YEGの経営女子会は「女性経営者同士が学び、支え合う場」としての仕組みが培われ、地域を巻き込んだ継続的な活動として確立されている。さらに、女子会ではあるものの、男性メンバーのサポートがあるからこそ安心して活動できることも聞いた。「直接見て、感じて、質問することで地域活性化やメンバーの成長に寄与している活動に大きな刺激を受けました」と振り返る正田さんたちは、桐生に戻ると自分たちの地域にどう生かすか議論を重ねる。桐生YEGが目指すのは、経営者、母、妻として抱える悩みや課題を共感・共有できる場、ビジネスにも家庭にも生かせる知識を深める場の創出である。こうして“桐生YEGらしい経営女子会”を形にする準備が始まった。
「経営女子会」初開催へ 動き出す実行委員会
正田さんは桐生YEG経営女子会の将来について、日本YEGのつながりが生んだ地域の新しい挑戦の好事例として、継続することを切に願っている。そして、その強い思いを託されたのが、事業がスタートした23年度に桐生YEGビジネス向上委員長を務めた杉本紫乃さんだ。
「一から始める事業ですので、何をしたら楽しめるか、女性が活躍しやすい居場所をどうしたらつくれるか、悩みながら着手したことを鮮明に覚えています」と語る。
初年度は、まず「異業種ランチ交流会」として意見交換会を開催。「女性は喋って高め合う」というサブテーマを掲げ、女性経営者同士の仕事や日常生活の悩みを語らう場を設けた。
「YEGに関係のない参加者が集まるか、などという心配もありましたが、あっという間に募集定員を上回り、会場はイキイキとした女性たちの会話が途絶えることなく、“かかあ天下”と言われる上州の女性たちの強さと魅力が感じられました」と杉本さん。「茂原YEGのメンバーも応援に駆け付けてくれ、さらに熱気と笑顔と温かさに包まれました。多くの女性経営者たちと出会えたことは、単会の枠を超えて友情とパートナーシップを育む原動力になったと思います」
桐生YEGの女性メンバーは会社の規模や立場、年齢も異なるが、気さくに話せる間柄で、同じ女性だからこそ助け合える仲間である。そんな女性経営者にとって居心地の良い場所を、桐生YEGにつくりたいというメンバーの思いが実を結び、初年度の新規女性入会者は10人、全体の約17%が女性会員となった。
2年目そして3年目へ さらなる取り組みを
事業2年目に当たる24年度担当委員長を務めた山﨑晃美さんは、「私がまず直面したのは、『認知度をどう広げるか』『新入会員獲得にどうつなげるか』という二つの課題でした」と語る。その後、両方の課題に挑戦することを決断。もちろん失敗に終わる可能性もあるが、3年目以降の発展につながる課題をあぶり出すことも2年目の役割だと考えたからだ。
まず拡大路線として企画したのが「異業種ランチ交流会」。年齢制限を設けず、地域のほかの経済団体にも声をかけて参加者を幅広く募集した。結果は定員の30人を超える申し込みがあり、キャンセル待ちが出るほどだった。「高評価をいただく一方で、人数が多く、深い交流は難しかったという指摘もありました」(山﨑さん)
もう一つは、YEG入会対象層に絞って腸活&料理教室を実施した「楽しく学べる腸活講座」。入会資格を見越して40歳までに限定し、定員15人で実施した。年齢制限を設けたことで募集には苦戦したが、SNSの発信や他団体からの紹介もあり、少人数ならではの濃い交流が実現。しかし、こちらも年齢を限定したことで、経営女子会の認知拡大にブレーキをかけたのも事実だ。
2回の開催を通じて、「地域にどんな女性経営者がいるのか」「どんな会なら参加してもらえるのか」「どこに声をかければつながれるのか」という課題を、YEGメンバーが男女問わず実感。しかし、「市内の女性経営者を掘り起こすことは、地域経済の将来につながるのだと分かったので、非常に意義のある経験になりました」と山﨑さんは振り返る。
3年目の経営女子会は2年間の反省を踏まえ、25年度担当委員長の須永礼良さんを中心に、交流型・セミナー型・体験型に続く“新しいかたち”の模索が始まった。
「振り返ってみると、新しい枠にとらわれず、地域に開かれた事業へと進化したと感じます。『ゆかた着付け教室+七夕ランチ交流会』では、世代や業種を超えて語り合うことができ、『経営女子会in YEGマルシェ』では出店者や来場者、桐生YEGの男性メンバーも含め、多くの人が経営女子会の雰囲気を実際に体感できたことは大きな収穫です」(須永さん)
どういう形であれ、出会いや学びの“きっかけ”になれたことこそ大きな成果だ。これからも桐生YEG経営女子会は、地域に根差しながら、このまちならではの魅力を伝え、さらに発展させたいと考えている。
4年目を迎える26年度は、経営女子会を行う担当委員は女性しかできないのかという新たな課題に挑戦するため、初の男性委員長で臨む態勢だ。委員長に抜てきされた池末晋介さんと副会長の園田晃也さんを中心に、進化し続ける桐生YEG経営女子会の今後の活動から目が離せない。
【 桐生YEG 】
会 長 : 齋藤 一直
会員数 : 125人
創 立 : 1982年
スローガン :「YEG Gratefulness ~感謝と恩返し 未来へ紡ぐ桐生の輪~」
HP : http://0277.jp/
編集後記
吉田慶彦(桐生YEG)
桐生YEG経営女子会は、自単会で関わりのある事業です。YEGに入会したからには、自分の地域の事例を展開・発展していく様子を記事にし、ぜひ全国のYEGの仲間たちに知ってもらいたいとの思いで取材しました。来年度、桐生YEGの会長を務めさせていただくことになりましたが、この記事に恥じないよう桐生YEG一丸となって、経営女子会事業を「永続」させていきたいと思います。
取材:日本商工会議所青年部(日本YEG)広報委員会 石垣チーム/写真提供:桐生商工会議所青年部

