地域経済圏の共創 〜明確な成果を追求する組織への深化〜
2026年度日本YEG会長 吉田 昌宜(よしだ まさひろ)
会長所信
YEG活動を繰り返すうちに、活動が内向きになり、地域の青年経済団体という社会的役割を見失ってはいないでしょうか。そもそも、経済という言葉は「経世済民(世を治め民を救う)」に由来し、その本質は貨幣の流通そのものではなく「社会を適切に運営し、人々の生活を幸福へ導くこと」にあります。現代社会が真に繁栄するためには、単なる経済成長にとどまらず、機会の豊かさ、価値の創出、幸福感といった多面的な要素が重要であり、まさにYEGこそが、地域社会の永続を念(おも)い、経世済民を体現する組織なのだと強く認識することができます。
日本人らしさとは、勤勉さや誠実さ。己を知り、他者を理解し認め合う国民性です。災害時に示される冷静さや全体の利益を優先する「公の精神」は、世界から高く評価されています。では、YEGらしい活動とはどのような活動でしょうか。それは、日本人らしさを地域の未来に映し出す活動そのものです。地域の事業者である、われわれYEGが「今だけ・金だけ・自分だけ」にとらわれず、共存するステークホルダーと未来を描き、その実現に向けて中心的役割を果たすことで、利害を超えた地域社会の共創が可能となるのです。
日本YEGは、中期ビジョンに掲げる「変革の道導(みちしるべ)」となるべく、各分野において活動を先駆け、果敢に挑戦を続けています。大きな一歩を踏み出した理念の体系化。資質を磨き合う学びの場として進化を続ける全国リーダーズ研修会。YEGの連帯と共創を示す全国大会やブロック大会。これらをはじめとする日本YEGの挑戦は、その全てが「変革の道導」としての役割を担っているのです。
2026年度日本YEGが目指す役割は、YEG経済圏構想の具現化です。経済活動そのものが社会的使命であるとの認識の下、地域の繁栄と持続可能性が両立する新たな価値の創出に取り組みます。24年度に導入された「YEG経済圏」という概念は、YEGメンバーの経済活動(企業活動やYEG活動など)から波及する地域への経済効果、すなわち「YEGがけん引する経済圏」を可視化するものです。交流と研鑽(けんさん)の本質を理解し、YEG活動に意図を持ち主体的に経済圏を構築することで、具体的な成果へと結び付けることができます。YEGは単なる交流の場ではなく、YEGの連帯・地域との連携を強化し、内外の関係者とつながりを結ぶ、社会的・経済的価値の両面を創出するためのプラットフォームなのです。
しかしながら、YEG活動が企業の成長や地域経済の繁栄に必ずしも結び付いていない現状があることは否めません。取り組みの意義が十分に伝わっていないため、活動の目的とその成果が乖離(かいり)しているのです。私たちは、YEG活動における成果とは何かを明確にする必要があります。それは、売り上げや事業拡大にとどまらず、地域や企業が直面する課題に応える新たな価値の創出にこそあるはずです。今こそ、YEGは「成果を追求する組織への深化」が求められています。
日本YEGにおいては、YEG経済圏の可視化、YEG経済圏構想の具現化を進めるに当たり、YEGネットワークを活用した取り組みにより、地域の魅力や事業者のストーリーを凝縮した「YEGらしいビジネス」の創出に取り組みます。また、YEG BUSINESS EXPOやビジネスプランコンテスト、未来共創市場やビジネス交流広場など、脈々と紡がれてきた日本YEGビジネス系コンテンツを全国のYEGメンバーに主体的に活用していただくことで、地域発のYEG経済圏を構築し、地域経済けん引の原動力となることを目指します。
日本は、社会構造の変化と価値観の多様化が進む中で、地域の持続性や経済循環の停滞といった本質的な課題に直面しています。これらの課題は、大都市への人口集中や地域格差といった構造的問題として多くの国々にも共通するものであり、YEGが青年経済団体として実践する解決策は、国際社会において先駆的なモデルとなり得ます。MOUを締結した多くの海外友好団体は、日本YEGが公共性を重んじた独自の貢献を通して、国際社会における信頼と共創の中心的存在となることに期待を寄せています。私たちが日本固有の歴史や文化に根差した魅力を再認識し、地域発のビジネスモデルによって競争力を再構築することで、世界を見据え地域に根差す「グローカル」な価値の創出が期待されます。
このように、YEGが青年経済団体として果たすべき役割は、現代社会に経世済民を体現することに他なりません。私たちが構築する「YEG経済圏」は、地域の繁栄と持続可能性が共存する新たな経済のカタチであり、それぞれの地域経済圏の総和が、日本経済の好循環を生み出す推進力となり、未来を支える力となるでしょう。交流と研鑽のその先に、地域の未来を、日本の未来を創るのは私たちだという気概をもって、変化を恐れず、共に前へ進んでまいりましょう。
インタビュー 吉田会長に聞いてみよう!
—プロフィールを教えてください。
福岡県久留米市で生まれ育ちました。大学時代を除き、ずっと久留米で過ごしています。現在は、父から引き継いだリネンサプライ業(病院や介護施設のシーツ・タオルの洗濯など)を基盤とした会社を経営しています。私が25歳の時に父が急逝し、大学卒業と同時に急きょ事業を継ぐことになりました。最初の2年間は現場を駆け回りました。そこから多角的に事業を展開し、廃天ぷら油を燃料にしたトラックの運行や、不動産、飲食、物産なども手掛けるホールディングス化を進めました。日本YEGの会長職を務めるに当たり事業を一度整理し、現在は50人ほどの従業員でスマートに運営しています。
—YEGへ入会したきっかけは?
2017年度に入会し、今年で10年目になります。根底には大学時代に出会った社会起業家の教えがありました。「社会の課題を解決することで対価としてお金をもらうのだから、もうけは後からついてくる」という言葉に感銘を受け、経済活動を通して社会に貢献したいという思いを持っており、それがYEGの考え方と非常に合致したのが大きな理由です。
—今年度事業・スローガンについての思いを聞かせてください。
事業をやること自体が目的となり、自己満足で終わってしまいがちな側面のあるYEG活動。よく言われる「交流と研鑽」はあくまで目的を達成するための手段であり、その先にある「描いた未来を実現する」ことが本来の目的です。YEGにおける成果とは、個人の成長を通した「自企業の成長」であり、それが「地域経済圏をつくっていくこと」だと考えています。
—抱負や目標を聞かせてください。
日本YEGの会長職と聞くと、大企業でないとできないと思われるかもしれません。しかし、私が入会した当時の売り上げは1億円ほどでした。YEG活動に没頭しながらでも会社を大きくできるし、個人事業主や中小企業でも日本YEGの会長職が務まるのだという背中を全国の皆さんに見せたいと思っています。われわれが掲げる理念を自企業の成長につなげ、その波及効果で地域経済をけん引していく「YEG経済圏」を共に創り上げましょう。
2026年度広報DX委員会石垣チーム紹介
取材・写真撮影:日本商工会議所青年部(日本YEG)広報DX委員会

