全国各地で自然災害が相次ぐ中、昨年12月に青森県東方沖地震が発生した。日本商工会議所青年部(以下、日本YEG)は、直ちに被災地域の状況把握を開始。被害の大きかった青森県の八戸YEG・むつYEG、岩手県の久慈YEGの3単会と密に連携し、被災状況や必要な支援策を共有した。人的被害は少なかった一方、地域経済は確実に打撃を受けている。今回は迅速な連携により実現した、YEGの経済支援の取り組みを紹介する。
被害の大小では測れない 企業からの切実な声
2025年12月8日に発生した青森県東方沖地震は、青森県八戸市・むつ市、岩手県久慈市で震度5以上が観測された。幸いにもこれらの地域では、ライフラインが早期に復旧し、まち並みも落ち着きを取り戻しているかのように見えた。しかし、現地からは切実な声が上がった。
八戸YEGの岡本信也会長は、「観光や取引の停滞が続き、売り上げへの影響は確実に出ています」と、経済被害への懸念を語る。また、むつYEGの小田桐亮会長は、「被害が小さいと思われることで、逆に支援が届きにくい状況があります」と指摘。久慈YEGの小坂武志会長も、「地域は前を向いています。だからこそ、経済を止めないための具体的な支援が必要です」と強調した。
外見上は問題なくても、設備の損傷や商品の破損などの損害を被った建物は多い。加えて、本来であれば年末年始の繁忙期に、忘年会や宿泊キャンセルが発生するなど、自粛ムードや風評による買い控えが続く―いわゆる“見えにくい経済被害”が残っているのだ。それでも、被災地域はこの困難を乗り越え、それぞれの誇りを胸に「前へ」と歩み続けている。日本YEGは、今できる支援を行うために動き出した。
経済を動かす仲間として 支える姿勢を根幹に
日本YEGが選択した支援の取り組みは、大きく分けて二つの軸がある。一つは現地に集い、学び、消費する「現地交流事業」。もう一つは、オンラインで商流をつくる「特産品ECサイト」の活用だ。両者に共通するのは、一時的な義援金にとどまらない、持続的な経済支援であるという点。事業者が事業を継続し、地域経済を回し続けることこそが復旧・復興の土台を支えるという考え方である。
今回の取り組みは、被災地を一方的に「支援される存在」として見るのではなく、ともに価値を創出する経済主体として相互に協力・連携し、経済を動かす仲間として支える姿勢が根幹になっていることが特徴だ。
自粛ムードの払拭に向けて 現地でイベントを開催
日本YEGが掲げる「現地交流事業」を実践する場として、今年2月5日にイベント「集え八戸に!~新たな経済価値の創出を~」を開催。全国から約100人のYEGメンバーが八戸市に結集した。経済活動に先立って、まず八戸商工会議所で「防災に関するワークショップ」を実施し、富山県商工会議所青年部連合会が能登半島地震での経験を基に作成した『災害危機対応マニュアル』が共有された。特筆すべきは、その実践的なシステムで、LINEを活用した安否確認やGoogleフォームによる要望集約、発災直後の「プッシュ型(情報・支援の発信)」から「プル型(支援要望の収集)」へ切り替えるフェーズ管理など、経営者の視点を生かした合理的かつ迅速な判断基準が示されたことだ。
学びの後は、会場を八戸まちなか広場「マチニワ」に移してセレモニーが執り行われた。八戸市の熊谷雄一市長、八戸商工会議所の武輪俊彦会頭も出席する中、乾杯の音頭を取った八戸YEGの岡本会長は、「地震発生から1カ月以上が経過しても、自粛ムードや風評被害による経済的影響が残っているため、全国の仲間の力を借りて払拭していきたい」とあいさつ。その手には、地震の揺れで棚から落ち、商品にならなくなったアルコール缶飲料が握られていた。へこんだ缶で行った乾杯は、被害を無駄にせず、再び価値を生み出そうとする被災地の“不屈の象徴”となった。
セレモニー後は、市内中心街の視察と交流に。参加者は数人のグループに分かれ、指定された飲食店を巡る「はしご酒」へと繰り出した。「被災地域の人たちに不謹慎ではないか」という自粛ムードが地方都市の夜の経済を停滞させることから、日本YEGのメンバーが先陣を切って「うまい!」「楽しい!」と声を上げ、地元の食材を味わい、杯を交わす。その活気が、店主たちに勇気を与え、まちににぎわいを取り戻す呼び水となることを目指した。
日本YEGの小野知一郎会長が呼びかけたこの企画は、単なる懇親会ではなく、消費という経済活動そのものが、被災地への最も力強いエールになることを実証する場となった。
編集後記
牛山由美子(小松YEG)
今回の取材を通して感じたのは、被害の大小では測れない復興の現実でした。報道が少ない地域にも、支援を必要とする“今”があります。経済を回し続けることが復興につながるというYEGらしい取り組みに未来の可能性を感じました。読者の皆さまにとって「自分にできる応援」を考えるきっかけとなれば幸いです。
取材・写真提供:日本商工会議所青年部(日本YEG)広報委員会 石垣チーム
今できる支援 ~クリックで届けるエール~
「現地に行きたいが、どうしても都合がつかない」。そんな全国の有志の思いを形にするため、もう一つの取り組みとして、日本YEG経済圏構築委員会が運営する特産品ECサイト『未来共創市場』で新たな支援を展開しています。
このサイトは、昨年2月に日本YEGがスタートさせたプラットフォームで、今回、発災を受けて初めて復興支援のツールとして活用されることになりました。現在は八戸の特産品を特集しており、遠く離れた地域からの注文が、現地の事業者にとって「応援されている」という強力なメッセージとなり、事業継続の意欲を支えます。
さらに日本YEGでは、今後万が一の災害が発生した際、本サイトを迅速に支援モードへ切り替え、行き場を失った商品を全国のYEGメンバーが購入して資金繰りを支えるセーフティーネットとしての機能構築も見据えています。PCやスマートフォンから、今すぐできる復興支援。商品を購入し、SNSなどで発信することが地域経済の回復に直結します。「おいしかった」という感動が、被災地の明日の活力になります。ぜひ『未来共創市場』にアクセスし、あなたの「消費」を「支援」に変えてください。
HPはこちら : https://yegmall.myshopify.com/


