油圧装置専門メーカーのユニコムは、船舶や環境機械など幅広い業界にフルオーダーメードの装置を提供してきた。事業拡大に伴う属人化の課題に直面した同社は、設計部門の「3D─CAD」や業務基幹システムの刷新などのDXを推進。その根底にあるのは「全社員の幸福追求」という明確な理念だった。
成長の裏で顕在化した 属人化リスク
ユニコムは、1981年の創業以来、油圧装置の専門メーカーとして実績を重ねてきた。計画から設計、製作、据え付けまでを自社で完結し、船舶業界や環境リサイクル機械、化学プラントなど幅広い業界にフルオーダーメードの装置を提供している。現在は二代目で代表取締役の藤原康雄さんの下、カーボンニュートラルに対応した新技術開発にも挑戦している。
90人の社員を擁する同社は、油圧ユニットやマニホールドブロックの設計製作など、五つのビジネスを展開している。藤原さんは、事業拡大を振り返りながらこう語る。
「組織が大きくなるにつれて、全体を見渡してマネジメントする機能が追いつかなくなってきました。以前は、『あの人に任せれば大丈夫』と、特定の担当者に頼る場面も多く、退職や異動があると業務が滞ることもありました。属人化していた業務を、誰もが対応できる体制に変えていくには、ITツールが不可欠です。特に今は、効率化や自動化、省人化といった視点が重要になっています」
設計部門では、2020年から「3D─CAD」(コンピューターによる設計)の活用が進んでいる。設計部係長の松田明輝さんは「従来の2D図面では想像に頼っていた完成形も、3Dによって空間的な把握が可能になり、設計の精度が格段に向上しました」と語る。例えば複雑な内部配管を持つマニホールドブロックでは油路の干渉チェックが容易になり、装置の小型化にも貢献しているという。3D化によるデータ蓄積は図面の標準化にも貢献し、製作コストの削減も進んでいる。
業務システムは、20年にクラウド型販売管理ソフト「オセロコネクト」へ刷新した。現在は、今年12月完成予定の新本社工場への移転を見据え、設計部門や事務部門を含めた業務全体を対象に、より自社の課題に即した基幹システムの選定を進めている。新本社工場の稼働を起点に、DXを次の段階へと引き上げていく考えだ。
専門家の伴走支援と若手主導で進めるDX
この選定プロセスで大きな役割を果たしているのが、中小企業基盤整備機構によるハンズオン支援(専門家派遣)である。経営企画室長の竹島由実さんは、「各部署から200の課題を抽出し、戦略マップに落とし込んで優先順位や解決策を検討しました。課題の一例に『販売・生産管理データの蓄積・統合』が挙がりましたが、専門家の後押しをいただきながらメンバーが一つ一つ真剣に課題に向き合いました」
