政府は3月23日、政労使の意見交換を首相官邸で開催した。日本商工会議所の小林健会頭は、大手企業の賃上げ回答を歓迎し「地方を含む中小企業へ波及し、賃上げが社会全体で定着することを強く期待する」と述べた。一方、多くの中小企業が業績改善を伴わない「防衛的賃上げ」を余儀なくされている現状も指摘。生産性向上や価格転嫁の推進など、持続的な賃上げへ向けた環境整備を強く要望した。高市早苗首相は、中小企業の「稼ぐ力」の抜本的強化を明言。物価上昇を上回る持続的な賃上げの流れを地方や中小企業へ波及させる方針を示した。
会議には小林会頭のほか、使用者側から日本経済団体連合会の筒井義信会長、全国商工会連合会の森義久会長、全国中小企業団体中央会の森洋会長、労働者側からは日本労働組合総連合会(連合)の芳野友子会長ら、政府からは高市首相ら主要閣僚が出席した。
小林会頭は大手企業による大幅な賃上げ回答を歓迎しつつも、中小企業における賃上げ定着への課題を強調した。中小企業の多くが業績改善を伴わない「防衛的賃上げ」を余儀なくされている現状を指摘し、安定的な実質賃金の回復には至っておらず、エネルギー価格の不安定化や価格転嫁の遅れが大きな懸念材料となっている点に言及した。
小林会頭は物価上昇を上回る賃上げを実現するためには「民間と政府が一体となって取り組みを進めていくことが不可欠」と主張。政府に対して、円安対策を通じた安定して緩やかな物価上昇や国内投資の拡大、生産性向上の後押し、価格転嫁の推進など、中小企業が持続的に賃上げできる環境整備を強く要望した。また、政府による着実な施策の推進が「中小企業の不安心理の払拭にもつながる」と述べ、商工会議所としても中小企業の「稼ぐ力の強化」と「付加価値の拡大」を全力で支援していく方針を表明した。
高市首相は、大企業の賃上げの流れを地方の中小企業や小規模事業者へ波及させる重要性を強調。具体的な取り組みとして、今年1月に施行された中小受託取引適正化法(取適法)の厳正な執行をはじめとした価格転嫁や取引適正化のさらなる徹底を明言した。
さらに、中小企業の「稼ぐ力」を抜本的に強化するため、プッシュ型の伴走支援、生産性向上や省力化投資、事業承継やM&Aの環境整備に注力する方針を打ち出し、物価上昇を上回る継続的な賃上げが可能な環境整備に向け万全を期す考えを示した。
