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身の丈ITで生き残れ! vol.11

wash-plusの高梨健太郎社長は、「欧米やアジアでもコインランドリー施設の需要が見込める」と話す

千葉県浦安市のwash-plus(ウォッシュ・プラス)は、コインランドリーのIoT化に取り組み、顧客がスマートフォンアプリで洗濯乾燥機を遠隔操作する「スマートランドリー」を開発した。コインランドリーの「不便」「不満」を解消する画期的なツールだ。

洗剤を使わず水だけで汚れを落とす洗濯機を開発

千葉県・市川商工会議所の経営指導員を辞めて、父親の不動産会社(浦安市の協同住宅)を引き継いだ高梨健太郎さんが、コインランドリー事業を主力とする会社「wash-plus」を立ち上げたのは、東日本大震災がきっかけだった。「地球を扱う商売だから手堅い」と信じていた不動産業だったが、市内で起こった液状化現象の影響で業績が悪化。そこで新規事業としてまず、液状化の実体験を生かした液状化シミュレーションプログラムの開発を目指したが、県の補助金を得られず断念。そんな時、顧問税理士から「地方ではコインランドリー業がもうかっている」という話を聞いた。半信半疑で情報を集めたところ、共働き・子育て世帯の洗濯の負担を軽減するサービスとして見直されていることに加え、毛布などの大物洗いのニーズ、さらには台風やゲリラ豪雨、PM2・5など近年の異常気象で外干しできる環境がなくなってきていることなどが分かってきた。

首都圏でも需要はありそうだが、市内には同業者がひしめいていた。既存店を調査すると、その多くが同じようなレイアウトの店舗に同じような機器を導入しており、差別化が図れていないことが分かった。であれば「付加価値を付ければ競争に勝てる」。

経営指導員時代の経験から、店舗づくりには自信があった。キッズコーナーの設置や宅配ボックスの併設といった、利用者が喜ぶアイデアが次々と浮かんだが、最大の付加価値は、市川・浦安・船橋商工会議所が共催のビジネスフェアで見つけた汚れを落とす効果がある「スーパーアルカリイオン水(SAW)」を使うことだった。SAWを使えば、アレルギー疾患の原因となる残留洗剤の心配がなく、親は安心して子どもの衣服やシーツ、毛布などを洗うことができる。

「そのことをコインランドリー機器製造メーカー複数社に話したところ、〝お客さんは洗剤の泡を見て汚れが落ちていると実感するんですよ〟と笑われました。唯一興味を示してくれたのが、山本製作所(広島県尾道市)の山本尚平社長でした」

洗濯機のIoT化で利用者の不便を解消

試行錯誤の末、洗濯機が完成。2013年6月、市内に「コインランドリーwash+」1号店を開いた。洗剤を使わないコインランドリーの存在は、子を持つ親の間に口コミで広がっていった。

高梨さんは次に、非効率な店舗運営、利用者の不便の改善を目指した。例えば、コインランドリーには洗濯機が稼働していない時間帯がある。「待ち」の商売だからと諦めず、IoTを活用して利用者を呼び込めないか。また、乾燥が終わった洗濯物が取り出されず洗濯機を長時間占拠していて次の利用者が使えないなど課題はいろいろあった。そこで16年、新規性・創造性のあるビジネスプランを表彰・支援する「CHIBAビジコン」に応募。「アレルゲンフリーを目指すコインランドリー事業のIoT化」という課題解決プランが、ちば起業家大賞(千葉県知事賞)を受賞したことで、IoT化に手応えを感じた。

続けて17年、中小企業庁の新連携支援事業に応募。事業統括・サービス提供の同社、機器開発の山本製作所、ソフトウエア開発のパークが連携して実現する「IoTを活用した『スマートランドリー』サービスの事業化」(同社が特許を取得)が採択され資金調達の道も開けた。

スマートランドリーとは、利用者がスマートフォンアプリを操作して、スマートランドリーシステム搭載の洗濯機などの機器を遠隔操作したり、料金を決済したりする仕組みのランドリーのこと。アプリ画面でクレジット決済、運転終了通知受け取り、領収書発行、空き状況表示が。さらに遠隔操作で洗濯機の窓を曇らせるブラインドモード(洗濯物がのぞかれない)やドアロックモード(洗濯物が盗まれない)切り替え、洗濯物の素材に合わせた洗濯コースのカスタマイズ、洗濯機の予約などができる。利用状況によって決まるステータス(4段階)が高いほど使える機能が多くなるよう設定したことから、利用者の不便が解消され、顧客の囲い込みにも有効な上、クーポンなども直接配信でき、空いている時間帯の集客も期待できるようになった。

ITに詳しい大手企業からの転職者も得て自社開発体制が整った。「IT化を進めて社員は少人数に抑えたい。自宅で作業をするテレワークも推奨しています」と高梨さん。同社はITにより顧客満足と生産性向上を追求し続ける。

会社データ

社名:株式会社wash-plus(ウォッシュ・プラス)

所在地:千葉県浦安市猫実1-9-5(株式会社協同住宅内)

電話:047-352-3985

代表者:高梨健太郎 代表取締役 

従業員:5人(役員3人)

HP:http://www.wash-plus.co.jp/

※月刊石垣2020年3月号に掲載された記事です。

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