日本商工会議所はこのほど、1月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果と共に、発注側企業の働き方改革に伴う〝しわ寄せ〟についてヒアリングした結果を発表した。「業務負荷の増大が生じている」と回答した企業は12・1%となった。2019年4月より、中小企業に1年先行して、大企業に対する「時間外労働の上限規制」が施行されている。この影響で、発注側企業による適正なコスト負担を伴わない短納期発注や急な仕様変更など、業務負荷の増大が懸念されている。
業務負荷の増大の具体的な内容としては、「短納期発注の増加」が51・2%と最も多かった。続いて、「特定の時期(年末、年度末など)における大量発注の増加」が41・3%、「短納期発注などに伴う、自社の人件費などのコスト増加分の価格転嫁の拒否」が25・6%となった。
業務負荷の増大が生じている」と回答した企業の割合を業種別に見ると、建設業が19・9%で最多。次いで、卸売業(14・1%)、製造業(13・3%)、サービス業(8・4%)、小売業(5・7%)となった。
ヒアリングした企業からは、「ゼネコンの下請け案件で、土日に作業現場が閉鎖されるようになった。工期に間に合わせるために残業を増やして対応しているが、残業代の増加で採算が悪化」(建設)、「コスト増加分の価格転嫁がないまま、急な納品依頼や発注内容の変更があり、断ろうとすると取引停止をほのめかされた」(電子部品製造)といった声が寄せられた。
このように、大企業に対する時間外労働の上限規制の影響により、調査企業全体の1割以上、建設業では約2割の企業で業務負荷が増大している結果となった。また、20年4月から大企業に対して施行される「同一労働同一賃金」についても、派遣会社から法令対応のための単価見直し要請があるという声も聞かれ、今後のさらなる負担増への懸念も広がっている。
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