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商工会議所保険制度 経営リスクを軽減 事業継続を後押し

日本商工会議所の七つの損害保険制度と業種別加入の目安

日本商工会議所では、地域経済を支える124万の商工会議所会員事業者が抱えるさまざまな経営リスクの軽減・補償を目的に、全国515商工会議所の協力の下、損害保険会社各社と連携し「ビジネス総合保険制度」「業務災害補償プラン」「休業補償プラン」「情報漏えい賠償責任保険制度」など七つの保険制度を運営している。いずれも簡便な手続きと低廉な保険料で加入できる中小・小規模事業者のための保険制度だ。本特集では、これら保険制度の概要を紹介する。

1.ビジネス総合保険制度 ~加入件数5万件突破、自然災害含むさまざなな事業活動リスクを補償~

本制度は、「ビジネス総合」という名のとおり、事業者における事業活動遂行リスクを、トータルで補償する制度として、2016(平成28)年7月にスタートした制度。

日本商工会議所では「業務災害補償プラン」と併せて事業者が加入すべき保険制度の一つとして推奨している。 昨今、事業者の業務内容や範囲などが拡大し多様化している中、既存のPL保険制度や情報漏えい保険制度などだけではカバーできない賠償責任リスクが多く存在するようになってきた。そこで日本商工会議所では、前述の既存保険制度でカバーしているリスクに加えて、「施設」「業務遂行」「管理財物」に関する賠償責任への補償もラインアップ、会員事業者を取り巻く事業活動遂行リスクを幅広くカバーする「ビジネス総合保険制度」を創設した。会員事業者は個別に加入していた既存保険制度を本制度への加入により補償の漏れやダブりを解消し、一本化できるメリットが得られる。(図1)

また、本年(2020年)6月をもって終了する「中小企業PL保険制度」の受け皿にもなっていることから、ビジネス総合保険制度の加入件数は、既に5万件を超え、事業者の支持に広がりが見られる。(図2)

本制度が賠償責任補償として追加している「施設」「業務遂行」「管理財物」に関する補償は、例えば、「水道の締め忘れにより階下テナントの店舗を水浸しにした」「工事現場の資材が倒れて歩行者にけがを負わせた」「ホテルなどのクロークで預かった上着を汚した」といったケースに対応する。(図3)

最近、こうしたトラブルの損害賠償金は高額化しており、それは中小企業にとって経営上のリスクにつながる。また、消費者意識の高まりとともに、これまで以上に事業者に厳しい目が向けられている中、既存保険制度において加入率の高かった製造業や販売業、飲食業だけでなく、建設業や介護事業などにもマッチした補償プランの設計が可能となっている。

また、本制度は、日本商工会議所が全国各地で実施した意見交換会などで寄せられた既存保険制度への要望などを踏まえて補償内容の検討を行い商品化したものである。その結果、全国各地で頻発している豪雨や台風などによる風水害などの突発的な自然災害や火災などに見舞われた際の事業休業に伴う売上高(利益)減少に対応する補償を商工会議所として初めて導入した保険制度でもある。

なお、引受保険会社によっては、地震による事業休業リスクも補償対象にしており、これは東日本大震災で被災した地域の要望で実現したものだ。その支払われる保険金は、災害による休業時の営業損失の備え(事業継続資金)として活用できる。

本制度の保険料水準は、全国商工会議所のスケールメリットを生かした団体割引による割安な水準(割引率は約1~3割程度)となっている。保険料は売上高を基礎とした簡易な引き受け方法で算出でき、複雑でないことから、加入しやすい制度となっている。

さらに本制度は、商工会議所が推進している事業継続計画(BCP)の策定とも関連性がある。大規模災害などの緊急時への備えとして本制度に加入しておくことで、企業の危機管理能力が高まるだけでなく、事業活動の継続・早期復旧などにより、取引先への製品・サービスなどの供給責任を果たし、顧客の維持・獲得、企業信用の向上も期待できる。

2011(平成23)年に発生した東日本大震災以降、わが国では大規模な自然災害が頻発している。こうした災害により中小企業の中には、数カ月にも及ぶ営業停止に陥るところがあり、そのため顧客離れが生じたり、手元資金の不足で従業員に給与が支払えず貴重な人材を失ったりすることもある。BCPでは、災害時の事前対策としてさまざまな経営資源(人、モノ、情報、金など)を平時から確保しておくことが重要であると指摘しているが、本制度は、このうちの資金面での備えに該当する。金融機関からの融資や平時からの積立金といった手段に対して、本制度の保険金は返済不要で一定水準の掛け金負担で大きな補償が得られるメリットがある。

また、引受保険会社によっては、建物・機械設備の汚染の調査、汚染除去を行うことで、従来は新品交換する以外に方法がなかった機械、設備などを罹災前の機能・状態に復旧する「早期災害復旧支援」サービスを提供しており、事業の早期復旧を後押しする。

<おすすめポイント>

①会員事業者を取り巻くリスクに対する補償の漏れ・ダブりを解消し、一本化して加入可能

②賠償責任(PL、リコール、情報漏えい、サイバー、施設、業務遂行など)のリスクを総合的に補償

③災害(火災、風災、水災、雪災、地震など)に遭った際の休業損失を補償

④情報漏えいの補償に加え、サイバー攻撃の際の対応費用も補償

<付帯サービス>(引受保険会社)

■早期災害復旧支援サービス(損保ジャパン日本興亜、東京海上日動)

■緊急時サポート総合サービス(損保ジャパン日本興亜)

■インバウンドビジネス支援サービス(東京海上日動)

■海外展開支援サービス(東京海上日動)

2.業務災害補償プラン ~心身疾患による労災にも対応~

本プランは、労働災害における使用者責任を補償する制度として、2010(平成22)年10月にスタート。日本商工会議所では、「ビジネス総合保険制度」と並び事業者として加入すべき保険制度の一つとして推奨している。

本制度の加入件数は、スタートから9年半余たった現在、8万5000件を超え、多くの事業者から高い評価を得ている。(図4)

過労死を巡る裁判において、最近、企業や経営者の責任を明確にする判決が増加している。15(平成27)年12月に「改正労安全衛生法」が施行されるなど、従業員の労務管理について、企業側の対応がこれまで以上に問われている。

本プランは、従来型の負傷型労災といわれる業務中のけがおよび労働災害の責任が企業にあると法律上判断された(例えば、安全配慮義務違反を問われた)場合に発生する企業の損害賠償責任(賠償金など)に対応する制度である。

労働災害が発生し労働者が死傷すると企業には一般に法的責任が発生するが、そのうちの民事責任すなわち使用者責任を補償するものとなっている。

労働者が業務中に負傷するなどの労働災害が発生した場合、使用者(経営者)は、労働者またはその遺族から民事上の損害賠償を請求される。損害賠償には、主に治療費(死亡・後遺障害の場合は逸失利益)や休業損害、慰謝料、弁護士費用などが含まれ、労働者が死亡した場合、企業の民事賠償責任が5000万円から1億円を超えるような高額になるケースがある。そして、その額は上昇傾向にある。

本プランは、業務上の事故による死亡や後遺障害、入院、手術、通院はもちろん、法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害をカバーし、事業継続の大きな一助になる。

また、前述のような新しい企業責任(安全配慮義務違反などによる企業の法律上の賠償責任)のほか、例えば、うつ病などの精神障害による「過労自殺」「過労死」が原因で認定された労働災害など、法律上の企業責任(民事賠償金)を問われた場合の慰謝料や訴訟費用(弁護士費用など)も対象になる。またオプションで、パワハラ・セクハラ・マタハラ行為などに対する管理責任や不当解雇などにより、企業、役員、管理職などが法律上の賠償責任を負担することによって被る損害を補償することも可能だ。(図5)

保険料は、補償内容が同様の一般の保険に比べて半額程度に設定されており、業種を問わず多くの事業者が加入している。

さらに売上高を基に保険料を算出する仕組みであることから、加入に当たっては従業員数を保険会社に通知する手間がなく、パート・アルバイトが多い製造業や小売業などには利便性が高い。また、役員を含めた全従業員が自動的に補償対象となることから、中堅・中小企業や下請企業を多く抱える事業者などに活用しやすい内容になっていることが特長だ。

近年、過労死に対する取締役個人の責任を認める判決も出た。従業員の労務対策は、これまで安全配慮義務の実施、福利厚生といった観点で捉えられてきた。だが今後は労働人口の減少などに対応した人材確保の観点から考える必要があるだろう。従業員の心身の健康を保つことは企業にとって効率的で持続的な成長への投資といえるかもしれない。そのためにも、本プランの加入をお勧めしたい。

<おすすめポイント>

①パートやアルバイトを含む全従業員を包括補償

②「従業員のけが」と「企業の賠償リスク」をダブルで備えることが可能

③政府労災で認定された精神障害、脳・心疾患などの疾病や自殺なども補償

④派遣、委託作業者のほか、下請け、請負人も補償

⑤業務中の天災(地震・噴火・津波など)によるけがにも対応(オプション)

⑥政府労災の支給を待たずに保険金の受け取りが可能(一部疾患などを除く)

⑦パワハラ・セクハラによる事業者、役員、使用人の法律上の賠償責任を補償(オプション)

(5面に続く)

(図6)休業補償プラン保険金支払い例

(続き)

⑧役員個人の賠償責任も補償

⑨「健康経営優良法人」に認定された事業者に対し、通常の割引後にさらに5%の上乗せ割引を適用

<付帯サービス>

※引受保険会社全社

(あいおいニッセイ同和、損保ジャパン日本興亜、東京海上日動、三井住友海上)共通

■メンタルヘルスに関る相談サービス

■法律・税務・労務に関する相談サービス

■ストレスチェックサービス

3.休業補償プラン ~自営業者のセーフティーネット~

本プランは、経営者本人や従業員が病気やけがで働けなくなった場合に、その間の所得をカバーするもの。そのため生活水準を落とすことなく、安心して療養に専念することができる。さらに最近は介護などの他の補償も付加されており、選択の幅が広がっている。また、団体保険制度である本プランは、保険料に団体割引が適用されるメリットがある。

少子高齢化に伴う労働力人口の減少により「人手不足」が顕在化している。その対応策の一つとして、福利厚生制度の充実など、人を引き付ける職場環境の整備が企業に求められており、これにより優秀な人材の確保や会社に対するロイヤリティーの向上・継続雇用につなげられるといわれている。

また、中小企業は「治療と仕事の両立」や「介護と仕事の両立」への支援も求められるようになってきており、仮に従業員に私傷病や家族の介護問題が生じても、安心して働ける体制の整備が急がれる。

一方、「メンタルヘルス不調者」は増加傾向にあり、それに起因する労災訴訟も増加傾向。そのため病気やけがで長期休業した際に治療に専念できる環境づくりや安心して復職してもらうためのサポート体制の整備が企業に求められている。

このように、「人手不足」「仕事と治療の両立支援」「仕事と介護の両立支援」「メンタルヘルス不調者」への対応など、中小企業に求められる課題は増加しており、複雑化してきている。

これらへの対策の一つとして、魅力ある福利厚生制度の構築が必要で、本プランに魅力を感じて採用する企業も増加傾向にある。その中には、本プランを含む福利厚生制度を採用時のアピールポイントとしているところもある。

本プランは保険会社によって、従業員全員を無記名で包括的に補償する制度を新たに用意している場合があるため、簡便な福利厚生制度を検討するチャンスといえる。

また、本プランは従業員個人が任意加入でき、かつ保険料も割安であるため、従業員が自助努力の一環として本プランを福利厚生制度に付加するケースもある。

一方、自営業者は、企業の従業員と異なり、公的な社会保障制度(政府労災保険における休業補償給付など)の対象外であることから、病気やけがで働けなくなる場合に備える保険制度への加入が必要不可欠である。(図6) そのため、簡便な手続きでかつ割安な保険料で加入できる本プランは、多くの自営業者から好評を得ている。

<おすすめポイント>

①入院中のみならず自宅療養期間中の就業不能も補償

②就業外での病気・けがまで対象(国内外問わず、365日24時間補償)

②加入時の医師の診査が不要

④天災(地震・噴火・津波など)によるけがも補償

⑤家事従事者も加入可能

⑥介護による休業も補償

⑦1年を超える長期休業も補償

4.情報漏えい賠償責任保険制度 ~情報漏えいだけでなく、「踏み台攻撃」などサイバー攻撃への備えを~

IT(情報技術)の進歩に伴い、標的型メールなどによる不正アクセスなど、いわゆるサイバー攻撃が急増し、個人情報の漏えい、データの損壊・改ざんなどの深刻な被害が生じている。その手法もより巧妙化しつつあり、情報セキュリティーに関する脅威は一段と複雑化している。事業者の規模を問わず、情報セキュリティー対策は急務となっている。

制度創設の経緯

2005年4月、個人情報保護法が施行された。これに伴い、商工会議所会員事業者への対策支援および負担軽減を目的に、情報漏えい賠償責任保険制度を創設。日本商工会議所が保険契約者となり、参加保険会社6社(幹事・三井住友海上)の協力の下、運営している。

対象の情報

①個人情報

個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に規定される個人情報のこと。

個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などにより特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう。死者の情報も含む。

②企業情報

特定の事業者に関する情報であり、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上または営業上の情報であって、公然と知られていない情報をいう。

③電子データまたは記録媒体に記録された非電子データとして保有される情報

法人情報にも対応

2012(平成24)年3月以降の保険始期から、賠償損害補償の対象となる情報が会員事業者(被保険者)の保有する法人情報まで拡大された。業務遂行における取引先企業などの情報漏えいに起因して、法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害に対しても保険金の支払いが可能となる。

情報漏えいの発生原因

①外部からの攻撃(不正アクセス、ウイルス、標的型メールなど)

②過失(セキュリティー設定ミス、廃棄ミス、誤操作など)

③委託先(委託先での漏えい)

④内部犯罪(従業員・派遣社員・アルバイトなど)

補償の対象

補償の対象は、情報の漏えいまたはその恐れに起因するものや、情報システムの所有、使用または管理に起因する他人の業務阻害などにより、被保険者が被った経済的損害で、次に掲げるもの。

(1)賠償損害補償(情報漏えい賠償責任補償特約)

次のいずれかに該当する事故に起因して、保険期間中に被保険者に対して損害賠償請求がなされたことにより被保険者が被る損害に対して、保険金が支払われる。

①情報漏えいまたはその恐れ

記名被保険者(加入者およびその役員)自らの業務遂行の過程において所有、使用または管理する他人の情報および被保険者以外の者に管理を委託した他人の情報の漏えいまたはその恐れ。

②情報システムの所有、使用または管理に起因する他人の業務阻害など

記名被保険者が行う情報システムの所有、使用もしくは管理または電子情報の提供に起因する、他人の業務遂行の休止または阻害、他人の所有、使用または管理する電子情報の消失または損壊など。

③サイバー攻撃に起因する他人の身体障害・財物損壊(オプション補償)

④IT業務の遂行に起因する他人の業務阻害など(オプション補償)

(2)費用損害補償

所定の情報セキュリティー事故が発生した場合に、記名被保険者がブランドイメージの回復または失墜防止のために必要かつ有益な措置を講じることによって被る損害に対して、保険金が支払われる。

具体的には、謝罪広告の掲載や謝罪記者会見、通信、おわび状作成、コンサルティング、見舞金・見舞品購入、事故原因調査、コールセンターへの委託などに関わる費用のほか、従業員の超過勤務手当、交通費、宿泊費、弁護士報酬などが対象となる。

オプションをセットすると、さらにクレジット情報モニタリング費用や情報システム復旧費用、再発防止費用、サイバー攻撃調査費用など、支払保険金の対象となる費用が拡大する。

制度の特長

(1)外部起因・内部起因の事故を幅広くカバー

サイバー攻撃・ハッキングなど、外部からの不正アクセスのみならず、被保険者自身の過失によるものや、使用人などの犯罪リスクまでカバーする。

(2)サイバー攻撃等の際の対応費用を手厚く補償

(3)海外で訴訟提起された損害賠償請求も補償(オプションセット時、所定の事故を除く)

海外で事故が発生し、海外で損害賠償請求を受けた場合や、現地で事故対応に必要となる各種費用も補償対象になる。

(4)IT事業者向けオプション

IT事業者向けオプションをセットすることにより、補償対象外であるIT業務の遂行(ソフトウエアプロダクト開発・販売、システムインテグレーションなど)に起因する他人の業務阻害などの損害を補償することが可能になる。

(5)セキュリティー対策に役立つサービスメニューの提供

①全ての加入者に個人情報漏えい時の「対応ガイド」を提供

②希望の加入者に「情報管理リスク評価報告書」を作成

③希望の加入者に「標的型メール訓練サービス」を提供(1社当たりの対象従業員数100人)④サイバー事故の発生時、希望の加入者への専門事業者紹介サービス

(6)商工会議所のスケールメリットと加入者ごとのセキュリティー状況を反映した保険料の団体割引20%および加入者の告知内容による割引などにより、最大68%までの割引が適用可能。

<おすすめポイント>

①サイバー攻撃などの際の対応費用を手厚く補償

②見舞金・見舞品購入費用も補償

③海外で訴訟提起された損害賠償請求も補償

④商工会議所のスケールメリットと加入者ごとのセキュリティー状況を反映した保険料水準

⑤IT業務も行う事業者向けオプションとして、「IT業務特約」も用意

⑥「標準型メール訓練サービス」を提供

海外展開サポートプラン

(中小企業海外PL保険制度、輸出取引信用保険制度、海外知財訴訟費用保険制度) ~海外取引におけるリスクを補償~

昨今、海外展開を図る中小企業が増加傾向にあることから、日本商工会議所では海外展開に伴うカントリーリスクや事業遂行リスクをカバーする三つの保険制度を総称として「海外展開サポートプラン」と呼び(それぞれの制度ごとに加入可能)、加入を推奨している。

5.中小企業海外PL保険制度

本制度は、製造または販売した製品(部品含む)が原因で、海外で第三者の身体事故または財物損壊事故を発生させたことにより、法律上の賠償責任を負った場合、和解や判決などによる損害賠償金をはじめ、弁護士費用などを保険金として支払う制度である。

法制度や商慣習の異なる海外で訴訟などに巻き込まれた場合、高額な損害賠償金や応訴に必要な多額の費用負担、そして多大な労力を要する。本制度は、被害者から身体障害・物的損害に対する損害賠償請求が提起された際、たとえ、それが不当な訴えであっても、保険会社による防御(示談代行)が行われることが特長である。

<おすすめポイント>

①日本を除く、全世界が保険適用地域

②損害賠償金のほか、争訟費用も補償

③訴訟トラブルの際、保険会社が解決までの対応をサポート

④取引先から間接的に輸出された製品、外国人旅行客などによって日本国外に持ち出された製品に起因する事故も補償

⑤生産物回収費用(リコール費用)も補償

6.輸出取引信用保険制度

本制度は、海外での売掛債権が取引先の倒産や取引先国におけるテロ、内乱、天災、海外送金規制などにより回収できなかった場合に、その損害額のうち、一定割合を保険金として支払う制度である。

貿易において不払いが生じた場合、文化、言葉の違いだけでなく地理的な距離の問題もあり、直接債権回収を行うことや現地で債権回収の代行を依頼することは非常に困難である。本制度は、これらの不測の事態に備えるとともに、取引先の審査機能も兼ね備えており、海外与信管理も行うことができる制度である。

<おすすめポイント>

①取引先を引受保険会社や同社提携の信用調査会社が保有する情報に基づき審査するため、与信管理業務の効率化、強化が可能

②貸倒損失への補償が保険金により行われるため、キャッシュフローへの影響を軽減

③貸倒損失を一定の保険料負担により保険に転嫁することで費用を平準化することが可能④売掛債権の保全となり、金融機関などに対する信用力が向上

7.海外知財訴訟費用保険制度

本制度は、日本企業や海外現地法人などが海外で第三者の知的財産権を侵害したとして、訴訟の提起などを受けることにより負担する訴訟費用や弁護士費用、鑑定費用などを保険金として支払う制度である。

海外進出する日本企業の増加に伴い、海外での知的財産訴訟に巻き込まれるリスクが年々高まり、外国出願を行っている中小企業のうち6%が海外企業から警告を受けたとの調査結果がある。本制度は、中小企業基本法で定める中小企業者が対象で、国が保険料の一定割合を補助(令和元年度の補助事業は終了)する点が特徴である。

<おすすめポイント>

①高額になりがちな海外での係争費用が補償され、海外知財訴訟への円滑な対応が可能

②国が保険料の半額(2年目以降の継続の場合は3分の1)を負担(注国の予算成立が前提であり、補助の内容が変更される場合があります)

このように、三つの保険制度は、わが国と大きく異なる諸外国との取引リスクに備えるものとして、既に製品や商品などの輸出(間接輸出含む)を行っている事業者はもちろんのこと、今後、輸出業務を開始する事業者に必須の保険制度といえる。

各制度の詳細や取り扱い損害保険会社および同代理店検索はこちらから。https://hoken.jcci.or.jp/