日本商工会議所は8月30日、8月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。調査期間は8月15~21日。全国338商工会議所の会員企業1914社から回答を得た。
8月の全産業合計の業況DIは、7月から0・8ポイント悪化のマイナス21・0となった。気温の上昇により飲食料品などの夏物商材の需要が拡大し、小売業や卸売業の業況が改善する一方、急激な猛暑の到来や台風などの天候不順に伴う客足減少により、飲食・宿泊業を中心にサービス業の業況が悪化した。加えて、一部の地域からは日韓情勢の影響による観光客の減少を指摘する声も聞かれた。また、深刻な人手不足や原材料費の高止まり、米中貿易摩擦や世界経済の先行き不透明感が製造業を中心に広く業況の押し下げ要因となっており、中小企業の景況感は、足元で弱い動きが続いている。
ヒアリングした企業からは、「日韓関係の悪化により、飲食店などのインバウンド客の減少が続けば今後の売り上げ悪化は避けられず、影響の長期化を懸念」(飲食料品卸売)、「日韓情勢を背景に韓国からのツアー客が激減しているほか、予約のキャンセルも相次ぎ、売り上げが大幅に落ち込んだ」(宿泊)といった日韓関係の影響を訴える声が寄せられた。また、「慢性化している人手不足の解消や働き方改革による残業時間削減への対応のため、ICT建機の導入を進めている」(一般工事)、「深刻な人手不足から下請業者がなかなか見つからず、受注できない案件も多い」(管工事業)といった人手不足に関する声も聞かれた。
先行きについては、先行き見通しDIは、8月比1・7ポイント悪化のマイナス22・7となった。個人消費の拡大やインバウンドを含む観光需要拡大への期待感がうかがえる。一方、人手不足の影響の深刻化や、原材料費の上昇、コスト増加分の価格転嫁の遅れ、貿易摩擦の激化や世界経済の動向、日韓情勢の行方、消費税引き上げの影響など不透明感が増す中、中小企業の業況感は慎重な見方が続いている。
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