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コラム石垣 2019年9月11日号 中山文麿

今年6月に米フェイスブック(FB)はデジタル通貨のリブラを2020年初めに発行する計画を発表した。もし、これが実現すると、ほぼ無料で送金や支払いができる。とりわけ、世界で銀行口座を持たない17億人の人たちにとっては朗報だ。

▼リブラを買いたい人はスイスに拠点を置いたリブラ協会に現金を払って発行してもらう。この協会にはFB、米ビザ、米マスターカード、それに米ウーバーなどのそうそうたるメンバーが参加している。同協会は得たお金を金融機関に預金したり、国債を買ったりして運用する。従って、リブラはビットコインのような投機的なデジタル通貨ではなく、準備資産に裏付けされたステーブル通貨である。

▼このように見ると、リブラは良いことばかりのように見える。しかし、その国際的な承認は慎重にすべきだ。理由は各国の通貨当局にとって二つの大きな問題点が存在する。一つは、中央銀行がこれまで享受してきた通貨発行益がリブラの残高分得られなくなること。二つには、政策当局が実施してきた金利の上げ下げや資金供給量の増減によって行われてきた伝統的な金融政策が効きにくくなることにある。

▼米政府は自国のFBに肩入れしたいであろうが、他の国の通貨当局にとってはデメリットだけが目立つ。国際的にもG20は金融安定理事会などにこの秋までに論点を整理して方向性を出すように委託した。

▼このFBのサービスはFBの利用者にとっては有益なものである。しかし、通貨当局の主権を侵害する恐れがあり、また、匿名性故にマネーロンダーリング(資金洗浄)に利用される危険性もある。従って、FBの提案は計画通りに承認を得ることは難しいだろう。

(政治経済社会研究所代表・中山文麿)

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