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コラム石垣 2019年9月1日号 中村恒夫

韓国に対する輸出管理の厳格化を巡る問題は、日本の産業界には強固な国際競争力を持った分野があると再認識させた。半導体や液晶ディスプレーといった価格競争力が売上高を左右するものではシェアを落としたり、市場自体から撤退したりしているが、高度な技術を要する部品については日本企業が独占的なシェアを有している場合もある。

▼「当社も飲食店で使用する食品添加物の素材を提供している」と話すのは、江戸時代から続く老舗醸造メーカーの元社長。世界的な日本食ブームの影響で、海外に出店する顧客が増え、結果的に「素材を輸出しているのと同じことになった」という。その素材がアレルギー体質の消費者に悪影響を及ぼさないか、イスラム教徒が口にできない成分が入っていないかなど、完成品を販売していなくても注意を払っている。

▼米中貿易紛争でも分かるように、従来の外交慣行にとらわれず、自国の利益を最優先させようとするケースが急速に増えている。その際、自社製品が巻き込まれる可能性も同様に高まっていると言えよう。企業のBCP(事業継続計画)は大地震やテロ行為などに見舞われることを想定しているが、国同士の争いでサプライチェーンが途絶する事態も考えておく必要があるだろう。

▼「コストが安い」という理由だけで、海外に頼っていると、不測の事態で部品が手に入らなくなることもあり得るのだ。その際に、別の供給源を確保できているのか、確認しておく作業は決して無駄ではない。

▼韓国向け輸出管理強化を引き合いに出しながら、元社長は「オンリーワンのメーカーは強い。企業として生き残るには自社の技術力を高めるのが一番大事だ」と語っていた。

(時事通信社常務取締役・中村恒夫)

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