帯広YEG/釧路YEG
2018とかちばん馬まつり
北海道では、明治の開拓期以来、馬が生活になくてはならない労働力として人々と共生してきた歴史がある。「とかちばん馬(ば)まつり」は、そのような地域の歴史ある馬文化を守り、貴重な地域資源である「ばん馬」の継続的振興を図ることを目的として、帯広商工会議所が主催者となり、2007年にスタートした。2017年からは帯広YEGが主催者として祭りを引き継いでおり、今年で12回目の開催を迎える。「ばん馬」を使う「ばんえい競馬」とは、重りを乗せた鉄ソリを引いて直線コースを競い合う、今日では帯広市のみで開催される独自の競馬である。「ばん馬」は、体が大きく首と胴は太くて短く、サラブレッドの約2倍の体重を持つ。なお、「どさんこ」はポニーに分類される小さめの“南部馬(なんぶうま)”をルーツに持つ。
9月29・30日に開催の同まつりでは、「ばん馬」とのふれあいコーナーや、子供限定の「ばん馬パン」の配布など、さまざまな催しを実施。2日目の目玉イベントの一つは、「ばん馬」の代わりに人間がそりを引くユニークな競技「2018ワールド人間ばん馬チャンピオンシップ」だ。世界中から参加した28チーム168人の猛者たちが優勝を目指し、チームと己の誇りを懸けた熱戦が繰り広げられた。レースは、普段入れない帯広競馬場の本馬場(ほんばば)を使用し、障害物の約1・6mの砂山を越える様子が見ものだ。優勝チームには「ばんば」にちなんで賞金88万円、観戦者にも上位2チームを当てる予想抽選会と予想したチームを応援して豪華賞品がもらえるイベントも用意された。
優勝は留萌市のチーム、準優勝には帯広市の地元チームが輝いた。また、根室商工会議所青年部創陽(そうよう)クラブの参加もあり、レースを大いに盛り上げた。その他、新企画として、馬に模した棒に騎手の模型を結び付け、またがって走る子供レースを開催した。騎手の模型を落とさないように慎重に走る姿に観客から大きな声援が送られ、参加した小学生約30人が1位の景品のお菓子の「うまい棒」88本を懸けて競い合った。台風の影響で2日目は一時小雨が降ったが、両日で1万9100人が市内外から来場する人気ぶりだった。
「ばん馬まつりプロジェクト」のリーダー小松雅俊さんに話を聞いた。
「主催は帯広商工会議所青年部ですが、この帯広競馬場内を実際に経営しているのは、帯広市やその関係団体です。開催するにあたり、青年部で多々あるやりたいことをまとめ、関係団体に提案し、その判断を仰ぎます。事前の交渉を慎重に進めていますが、それでも、こちら側の提案が全て実施されるわけではないなどの苦労もあります」
次に「人間ばん馬」に参加した根室商工会議所青年部会長の瀨戸愼太朗さんに、参加したきっかけと経緯を伺った。
「今年卒業する先輩たちの卒業記念と、同所青年部の30周年記念事業の一環として出走させていただきました。レースはケガ人もなく無事に完走でき、喜びがじわじわと湧いてきています。何よりも、主催の帯広YEGの熱気を強く感じました」
釧路すえひろヒア(冷)ガーデン
「釧路すえひろヒアガーデン」は、夏場もヒヤリと涼しい釧路の気候を逆手にとったイベントである。釧路商工会議所が主催、釧路YEGの共催により毎年開催している。
本イベントの目的は、ビアガーデンを呼び水として、参加者に中心市街地に出てもらい、飲食業活性化につなげることだ。当初は狙いどおりにいかずビアガーデン後、中心市街地で飲食せずにそのまま帰宅する参加者も多かった。だが、広報面で努力を重ね、7回目の開催を迎える今では、二次会に行く人も増えてきた。今年度は、7月30日~8月24日、17時30分~20時00分で開催。初回の2012年度は来場者数2540人、ビール5086杯の売り上げだったが、今回は来場者数4139人、ビール8278杯を売り上げるまでになった。イベントの規模が年々大きくなる中で、メンバーの負担が増えたこともあり、以後は実行委員会を立ち上げて近隣のお店にも協力を仰ぐ予定だ。青年部以外の飲食業者も巻き込み、地域一体型の事業にすることで、釧路の元気・にぎわいを創出していく考えである。
平成30年度副会長の山下徹也さんに、今後の企画について聞いた。
「ヒアガーデンはゼロ次会の位置付けで、終了後に中心市街地に出てもらうことを目的としています。なのでメニューを充実させることは考えていませんし、営業時間も20時までとしています。メンバー同士の一体感が生まれる場でもありますが、我々がいつまでも運営の主体となっているべきではなく、やがてはYEGが作った仕組みを繁華街“すえひろ”の方たちに引き継いでほしいと考えています」
平成30年度会長の安田正二さんに伝えたいことを聞いた。
「中心市街地のにぎわいを創出するための事業ではありますが、8月でも20℃あるかないかという釧路の冷涼な気候を全国に発信して、満喫していただきたいです。釧路は今、マリモでも街おこしをしているので、釧路に来てこのまちの良さに触れてほしいですね」
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