コラム石垣 2019年10月11日号 丁野朗

観光や産業振興、文化財活用など、各地でおびただしい数の計画策定が進められている。しかし近年になって、これらの計画づくりの手法に大きな変化が見られるようになってきた。それは「市民協働」である。

▼計画をつくり、その実現に行政が自ら旗を振るのは当然としても、実際に事業を担う市民や民間事業者が不在であったり無関心だと、まさに絵に描いた餅に終わってしまう計画も少なくない。近年、自らが関わる観光基本計画の策定でも、観光関連や経済団体の代表者などによる委員会とは別に、市民や事業者らによるワーキンググループを別途設置する例や、現地でのワークショップ、ヒアリングなど、まさに市民協働による計画づくりが進められている。

▼その一例が、新潟県上越市の次期観光振興計画の策定である。この計画づくりはまさに上記のような手法が導入されているほか、計画策定後もワーキンググループは解散せず、計画期間中はずっと市民・事業者の提案と事業化プランを支援しフォローアップするという前提で作業が進められている。

▼観光地域づくりのかじ取り役であるDMOは、観光客数の増加などのKPIを掲げるが、こうした民間事業者による活発な活動と事業創造こそが事業の成否を決める。

▼今年4月に改正された文化財保護法によって位置付けられた文化財活用の地域計画の策定なども例外ではない。文化財は公的財源と責任によって保全するという従来型の施策は、今や破綻しつつある。「活用なければ保全なし」は文化庁の大きな指針だが、活用を実現する主体は、明らかに市民や民間事業者たちである。地域の市民力こそが、地域文化資源の保全・活用の大きな鍵となる。

(東洋大学大学院国際観光学部客員教授・丁野朗)

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