日本商工会議所は3月30日、「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済対策に関する緊急要望〜感染拡大防止の徹底と地域経済社会への影響の最小化に向けて〜」を政府に提出した。3月6日の緊急提言に続き、政府への追加経済対策の要望を取りまとめたもの経済活動が縮小する中、中小企業や小規模事業者の経営が危機的状況に陥っているとして、倒産を防ぐための支援拡充など、収束への時間軸に即し要望している。
国内の感染拡大防止に向けた政府の自粛要請を機に、地域の経済社会活動は一段と制約され、幅広い業種の中小・小規模事業者の経営が危機的状況に陥っている。特に、観光関連産業などの需要が激減したことにより、地域経済への影響は時間の経過とともに深刻化している。倒産や廃業の防止には、さらなる支援体制の強化と施策の拡充とともに、国民や事業者の不安を払拭(ふっしょく)する必要がある。
同要望は、1.倒産・廃業防止のための前例にとらわれない緊急対策、2.徹底した感染拡大防止の下、地域経済社会への影響を最小限に留める対策、3.経済のV字回復に向けた大胆な経済対策の3点が柱となっている。官民一体の取り組みの徹底が不可欠で、過度に活動が委縮することがないよう、地域の実情に応じた具体的な自粛基準などの早期提示が必要である。さらに、一定の収束が見通せた段階では経済のV字回復に向けた国民や事業者の景気浮揚への期待を喚起する大規模な政策を大胆に実施すべきとしている。
具体的には、倒産・廃業防止のための前例にとらわれない緊急対策の資金繰り支援として、事業や店舗の継続に必要な給付金制度の創設や、無利子・無担保の融資を迅速に実行できるよう金融機関の機能強化、民間金融機関の融資に対して企業が支払う利子の実質無利子化・無保証料化などを提案している。また雇用を維持するためには、雇用調整助成金の支給要件のさらなる緩和や助成率の引き上げなどを求めている。
徹底した感染拡大防止の下、地域経済社会への影響を最小限に留めるには、イベントの自粛や中止を地域や主催者が決める際の明確なガイドラインを早急に作成し、公表することが必要としている。経済のV字回復に向けた大胆な経済対策には、個人消費の喚起策として子育て世帯などを対象に給付金を支給することや、旅行、飲食、イベントに活用できるクーポン券の発行などを挙げている。
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