日商 Assist Biz

更新

コラム石垣 2018年6月1日号 中山文麿

トランプ米大統領は6月12日の米朝首脳会談をキャンセルした。会談実施に向けた交渉が再開されているが、彼はこの会議で当初期待していた北朝鮮が核兵器を完全廃棄するという約束が得られないと判断したようである▼このような動きに至ったのは金正恩党委員長が今年2回目の中国の習近平国家主席との会談後である。南北閣僚級会合を一方的にキャンセルするなどかつての瀬戸際外交を思わせる行動に出てきたことにもその予兆はあった。

▼中国は米朝交渉の過程で北朝鮮を通して影響力を行使し、米軍の一部もしくは全体を朝鮮半島から撤退させたり、北朝鮮の大陸間弾道弾対策を口実に配備された米国の迎撃ミサイルシステム(THAAD)の撤去にも口を出したりしそうだ。

▼トランプ大統領は北朝鮮の完全かつ検証可能で不可逆的な非核化を求めており、その確認後、金王朝の体制保証と共に経済制裁を解除するなどしたいとしている。一方、北朝鮮は非核化するといっても朝鮮半島の非核化であり、しかも段階的に進め、その都度見返りを得たいようで彼我の考え方の差は大きい。

▼明治30年に福沢諭吉は自ら立ち上げた新聞「時事新報」で、「(前略)朝鮮人相手の約束ならば、はなから無効のものだと覚悟して、自らの実利を得るよりほかに方法はない」(渡辺利夫拓殖大学前総長の国際エグゼクティブフォーラムの朝食会での福沢諭吉論から抜粋)と手厳しい記事を書いている。

▼今後、昨年の米朝軍事衝突の緊張状態のような事態に陥るのだろうか。トランプ大統領も安倍首相も北朝鮮は極めて手ごわい交渉相手であることを肝に銘じて北朝鮮に内包する諸問題の解決に向けて努力してもらいたい。

(中山文麿・政治経済社会研究所代表) (5月28日執筆)

次の記事

NIRA総合研究開発機構理事 神田玲子

「ニューカラー」という言葉をご存知だろうか。これは、IBMのロメッティCEOが提唱している新語で、IT関連の仕事に従事している人々のことを指す。従来は、ホワイト・カラーとブ…

前の記事

時事通信社取締役 中村恒夫

国内では当面、人手不足が続く見通しとあって、女性労働者の増加に期待が高まっている。一方で、子育て世代の女性にとっては、仕事と家庭生活のバランスをどう保つかが現実的な…

関連記事

政治経済社会研究所代表 中山文麿

今回の米国大統領選挙は、トランプ氏を絶対に再選させたくない民主党と熱狂的な支持者からなるトランプ党との戦いだった。トランプ支持者は戸別訪問などどぶ板選挙も行い、前回…

時事総合研究所客員研究員 中村恒夫

アニメ映画「鬼滅の刃・無限列車編」が空前ともいえるブームを巻き起こしている。目を見張るのは観客動員数だけでなく、関連グッズの多さだ。二番煎じ以降になると、効果もそが…

東洋大学大学院国際観光学部客員教授 丁野朗

2015年に創設された「日本遺産」は、今年6月、新たに21件が認定、合計104件となり、当初予定の認定数に達した。今後は新たな認定は行わないが、そのさらなる磨き上げに力を入れ…