政府は7日、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言の発令に合わせて「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策~国民の命と生活を守り抜き、経済再生へ~」を公表した(緊急経済対策概要2面に)。
緊急経済対策では、雇用の維持と事業の継続のため、新たな中小企業向けの給付金制度の創設をはじめ、財政・金融・税制などのあらゆる面で政策手段が総動員されている。
日本商工会議所は、政府・与党における緊急経済対策の検討に際し、各地から寄せられた中小企業・地域経済の窮状を踏まえ、3月6日に「新型コロナウイルス感染症対策における中小企業支援に関する緊急提言」を取りまとめ、安倍晋三首相らに提出した。続けて、3月21日に首相官邸で行われた政府集中ヒアリングで、三村明夫会頭が安倍首相に直接要望。中小企業の景況感が足元で大幅に悪化しているとの調査結果などを説明するとともに、新型コロナウイルス感染症により経営に影響を受けている中小企業への迅速な支援や、需要のV字回復に向けた大胆な経済対策を求めた。3月30日には「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済対策に関する緊急要望~感染拡大防止の徹底と地域経済社会への影響の最小化に向けて~」を政府に提出。これらの働き掛けの結果、多くの要望が実現している。
日商の要望項目の資金繰り関連では、史上初となる事業者向けの給付金制度、「持続化給付金」が創設された。売り上げが大きく減少した事業者に対し、事業の継続を下支えし、再起の糧としてもらうため、事業全般に広く使える給付金を支給するもの。法人は200万円、個人事業者は100万円が上限。中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者、そのほか各種法人などで、新型コロナウイルス感染症の影響により、売り上げが前年同月比で50%以上減少している者が給付対象となる。
また、信用保証付き融資における保証料・利子減免や、特別利子補給制度なども盛り込まれた。さらに、2月以降、前年同月比マイナス20%以上売り上げが減少した全ての事業者に対して無担保かつ延滞税なしで納税を猶予する特例のほか、厚生年金保険料などの猶予制度が設けられている。
雇用維持関連では、雇用調整助成金の特例措置が講じられ、4月1日より中小企業の助成率が3分の2から最大10分の9に拡大されている。また、申し込み要件のうち、売上高など生産指標要件が1カ月10%から5%に緩和されている。
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