「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」における税制措置のポイントを紹介する。詳細は日本商工会議所のホームページを参照。
法人税、消費税、固定資産税、社会保険料など納付の猶予
収入が大幅に減少している事業者は、法人税や消費税、固定資産税など、基本的に全ての税目の納税が猶予される。また、社会保険料の納付も同様に猶予される。
○適用要件など
・2020年2月1日から納期限までの一定期間(1カ月以上)において、収入が前年同期比おおむね20%以上減少した場合、1年間納税を猶予。
・一時の納税が困難と認められる場合に適用(少なくとも向こう半年間の事業用資金を考慮するなど納税者の状況に配慮)。
・担保は不要、延滞税および延滞金は全額免除。
・申請書類の提出が困難な場合は口頭説明も可能など、柔軟に運用。
事業用家屋・償却資産の固定資産税の軽減
(既存の事業用家屋・償却資産に対する固定資産税・都市計画税の減免)
売り上げが大幅に減少している中小事業者などに対して、償却資産と事業用家屋に係る固定資産税および都市計画税が減免される(21年度課税分)。
・21年1月31日までに、認定経営革新等支援機関などの認定を受け、市町村へ申告した者に適用。
・20年2月~10月までの任意の3カ月間の売上高が前年同期比で30%以上50%未満減少の場合は減免率2分の1。
・50%以上減少の場合は全額減免。
(新規設備投資に対する固定資産税の減免)
現行の中小企業に対する固定資産税の軽減措置(生産性向上特別措置法に基づく特例措置)において、償却資産に加え、事業用家屋と構築物も対象となる。
○適用要件など
・事業用家屋は、取得価格の合計額が300万円以上の先端設備などとともに導入されたもの。構築物は、旧モデル比で生産性が年平均1%以上向上する一定のもの。
※事業用家屋、構築物ともに中小事業者などの認定先端設備等導入計画に位置付けられたもの。
・固定資産税の軽減割合は、3年間ゼロ~2分の1以下(市町村の条例で定める割合)。
・生産性向上特別措置法の改正を前提に22年度まで2年間延長。
欠損金の繰戻し還付が中堅企業でも利用可
中小企業および中堅企業で欠損金の繰戻し還付が利用できる。
・中堅企業(資本金1億円超10億円以下の法人(*))の20年2月1日~22年1月31日までの間に終了する事業年度に生じた欠損金が対象。
*大規模法人(資本金10億円超)の100%子会社などを除く。
還付請求できる法人税の額=前期の法人税額×当期の欠損金額÷前期の所得金額 ※前期の所得金額が限度。
テレワーク導入支援のための設備投資減税拡充
「中小企業経営強化税制」において、テレワークなどのための設備投資に係る新たな類型が追加される。
〔中小企業経営強化税制の概要〕
中小企業経営強化法の認定を受けた「経営力向上計画」に基づく設備投資に即時償却または税額控除10%(一部7%)を選択適用。
現行の設備類型の生産性向上設備(A類型) 要件:生産性が年平均1%以上向上改善する設備。
収益力強化設備(B類型) 要件:投資利益率5%以上の投資計画に係る設備。
デジタル化設備(新類型) 要件:遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかに該当する設備(機械装置(160万円以上)、工具(30万円以上)、器具備品(30万円以上)、建物付属設備(60万円以上)、ソフトウエア(70万円以上))。
売り上げ減少により、消費税の課税選択をやめることが可能
売り上げが著しく減少した事業者において、課税期間中であっても、課税選択をやめる(免税事業者に戻る)ことなどが可能となるといった特例が創設される。
○適用要件など
法律の施行後に申告期限が到来し、かつ、20年2月1日以降、21年1月31日までの期間に売り上げ減少*が生じた事業者。
*一定期間(1カ月以上)における売り上げが前年同期比おおむね50%以上減少。
・当該課税期間の申告期限までに申請書を提出(税務署長の承認が必要)
・基準期間における課税売上高が1000万円以下など
特別貸し付けに係る印紙税が非課税
公的金融機関や民間金融機関などが、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者に対して行う特別貸し付けに係る契約書については、印紙税が非課税となる。
チケット代金払い戻しの放棄による寄付金控除
文化芸術・スポーツイベントの中止などに伴い、観客がチケット代金などの払い戻しを求めなかった場合、その金額は寄付とみなされ、寄付金控除の対象となる。
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