◆平成27年度与党税制改正大綱について
本日決定された平成27年度与党税制改正大綱は、法人実効税率の引き下げが盛り込まれ、経済の好循環を実現し、成長力の強化につながるものとして評価する。法人実効税率は、20%台まで引き下げることを目指して改革を継続するとされており、できるだけ早い実現を望む。
また、経済波及効果の高い住宅取得資金の贈与税非課税措置の拡充が盛り込まれたが、先にまとめられた緊急経済対策と合わせ、中小企業や地方にまで、景気回復の波が早期に行き渡ることを期待したい。
中小法人課税に関しては、そのあり方について検討課題とされているが、地域を含めた経済への影響、国際的な整合性、経営への影響、制度の簡素化や公平性などのさまざまな視点から検討することが必要である。特に、外形標準課税について、中堅企業への配慮や中小企業への適用拡大が見送られたことは一定の評価をするが、従業員給与に課税する賃金課税であり、中小企業への適用拡大は、将来にわたり反対である方針に変わりはない。
消費税の複数税率については、社会保障財源の毀損や、対象品目の線引きが困難であるという問題を抱えている。加えて転嫁問題に直面する事業者、とりわけ規模の小さい事業者ほど事務負担が大きくなることから、導入すべきでないと考える。
(平成26年12月30日)
◆「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」の閣議決定について
日本商工会議所は予てより、円安によるコストアップに直面している中小企業や地域経済の影響を最小限化し、低迷する消費を喚起するための経済対策の実行を求めてきた。本日決定された緊急経済対策は、我々の要請に沿ったものであり、歓迎する。
具体的には、経済波及効果の高い住宅に対するエコポイント制度や商品券発行などの消費喚起策、若者の地元就職支援や女性の創業支援などに充当できる交付金の創設などは、経済活性化と地方創生に資するものである。また、中小企業・小規模事業者に対するものづくりや創業、販路開拓、資金調達、省エネ設備機器導入などへの支援が盛り込まれたことも評価したい。
20年に及ぶデフレ脱却を果たすには、足元の経済対策はもとより、我が国の潜在成長率の向上に向けた、成長戦略の強力な実行が求められる。我々民間企業も、デフレマインドから脱し、経済の好循環に自ら積極的な役割を果たしていく。
(平成26年12月27日)
◆第3次安倍内閣発足について
衆議院総選挙による国民の負託を受け、継続的に政策を実行する体制が整った第3次安倍内閣の発足を歓迎する。安倍総理が引き続き経済最優先の方針を示されていることは大変心強い。やるべき課題と方向は明白である。この4年間のあり方が日本の将来を決するものであり、スピード感をもって政策を断行してほしい。
具体的には、消費税引き上げまでの2年余りの間に、中小企業や地方にまで景気回復の波を行き渡らせ、デフレ経済から成長経済へ確実に移行させることが新内閣の責務である。人口急減と超高齢化への対策、疲弊する地方の再生、震災復興の加速と福島再生にも総力を結集して取り組まなければならない。まずは、経済対策・補正予算の策定・実施を急いでほしい。ネット減税となる法人実効税率の引き下げ、わが国の潜在成長率の向上に向けた成長戦略の実行なども重要である。
とりわけ、社会保障給付の重点化・効率化、安全が確認された原発の再稼働、TPPの早期妥結、新市場を創出する規制改革、少子化対策の抜本的見直しなどは、強固な政治基盤を持つ安倍政権にしかできないものであり、その実現を大いに期待している。
(平成26年12月24日)
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