厚生労働省、中小企業庁はこのほど、働き方改革関連法の施行に向けた取引上の配慮に関する要請書を業界団体などに発出した。4月から順次施行される働き方改革関連法により、大企業に時間外労働の上限規制が適用されることに伴い、中小企業などに無理な発注を行うことへの懸念の声が上がっている。このため、繁忙期や短納期発注の発生要因の課題が考えられる業界団体など1066団体を対象に要請が行われた。
厚生労働省と中小企業庁では、中小企業の労働基準関係法令違反の背景に、極端な短納期発注などに起因する下請代金支払遅延等防止法などの違反が疑われる事案については、公正取引委員会を含む関係行政機関との連携を図り、その指導強化を図っている。また、2018年12月には下請中小企業振興法に基づく振興基準を改正し、親事業者に対して、①自らの取引に起因して、下請事業者が労働基準関連法令に違反することのないよう配慮すること、②やむを得ず、短納期または追加の発注、急な仕様変更などを行う場合には下請事業者が支払うこととなる増大コストを負担することなどを求める規定を新設し、努力義務として周知を行っている。
さらに、働き方改革関連法により改正された労働時間等設定改善法では、他の事業主との取引において、長時間労働につながる短納期発注や発注内容の頻繁な変更を行わないよう配慮することが、事業主の努力義務となった。しかし、個々の事業主の努力だけでは限界があることから、厚生労働省、中小企業庁は、社会全体として長時間労働につながる取引が生じないよう配慮することが必要と呼び掛けており、今回、要請書を発出した。
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