日本商工会議所は4月9日、最低賃金引き上げの影響に関する調査結果を公表した。
同調査では、昨年度の最低賃金引き上げの直接的な影響を受けた中小企業の割合は、2019年度調査の38・4%から3・4ポイント上昇し41・8%となった。最低賃金の大幅な引き上げに伴う中小企業への影響が広がっていることが分かる。
また、仮に、今年度の最低賃金が10円~40円引き上げられた場合の影響の有無については、10円引き上げられた場合に「影響がある」と回答した企業は33・1%に上った。30円および40円の引き上げとなった場合、過半数の企業が「影響がある」と回答した。
さらに30円および40円の引き上げとなった場合に「影響がある」と回答した企業に対応策を聞いたところ、「設備投資の抑制など」が最も多く、次いで「正社員の残業時間を削減する」「一時金を削減する」との回答が続いた。最低賃金の大幅な引き上げは、設備投資による生産性向上の阻害要因になることに加え、賃金増に必ずしも直結しないことがうかがえる。
最低賃金引き上げの対応に必要と考える支援策は、「取引価格の適正化・円滑な価格転嫁」との回答が58・8%で最も多かった。
同調査は、最低賃金が4年連続で3%台の大幅な引き上げが続いている中、中小企業への影響を把握することで今後の要望活動に生かすとともに、国・地方の最低賃金審議会において中小企業の実態に即した意見主張を行うために実施した。調査地域は全国47都道府県で、各地商工会議所職員による訪問調査。417商工会議所4125社のうち、2838社から回答を得た(回答率68・8%)。調査期間は20年2月3日~3月6日。
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