日本商工会議所はこのほど、中小企業の「電力コスト上昇の負担限界に関する緊急調査」第二次集計結果を取りまとめた。東日本大震災直後の2011年4月からの1年間と比べて、13年9月からの1年間に企業が支払った電気代は平均で3割近く上昇。負担増が企業経営を圧迫している。
集計結果では、原発停止などによる電力コスト上昇が中小企業の経営に重くのしかかっていることが、あらためて明らかになった。震災直後の1年間と比べた1社当たりの電気料金の負担は、平均で実に1041万円も増加している。
電気料金を1kWh当たりに換算した場合、14円88銭から19円7銭と28・1%も上昇していることになる。今後の電力コストの上昇許容額についての設問では、「1円/kWh未満」と「1円/kWh」と回答した割合が全体の67・6%と3分の2以上を占めており、これ以上の電力コストの増加は負担が限界に達している中小企業に大きな打撃を与える可能性が高いことが分かる。
電力コストがさらに上昇した場合の対応策については、「人員・人件費の削減」を検討すると回答した割合が56・5%と最多。「設備増強や研究開発活動の縮小・抑制」(36・3%)「生産活動の縮小・抑制」(24・2%)の順で多く、業種別では、特に製造業への悪影響が大きい。
「電力コストが上昇しても影響はない」との回答は全体でわずか10・2%。電力コストが実際に上昇した場合、雇用減少や就労者の収入減少、中小企業の設備投資・研究開発活動の抑制、生産活動の低下につながる可能性が高く、深刻な影響が懸念される。
調査期間は、昨年の11月25~12月10日。全国の中小企業335社から回答を得た。
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