日本商工会議所は3月29日、3月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。調査期間は3月13~19日。全国363商工会議所が2747企業にヒアリングした。
3月の全産業合計の業況DIは、マイナス16・9と、2月からプラス1・2㌽の改善。ただし、「悪化」から「不変」への変化が主因であり、実体はほぼ横ばい。堅調な民間工事を中心とする建設業に加え、春の観光シーズン到来によりインバウンドを含む観光需要が好調に推移した一方、受注が減少した半導体や産業用機械、自動車関連を中心とする製造業の業況感が悪化した。深刻な人手不足の影響拡大や原材料費の高止まり、根強い消費者の節約志向を指摘する声は依然として多く、中小企業の業況改善に向けた動きは力強さを欠いた。
ヒアリングした企業からは、「人手不足の深刻化による受注機会の損失に加え、人件費・外注費の増大や建設資材価格の高止まりを背景に、収益の確保にも苦戦」(管工事)、「受注を安定的に確保できており、売り上げは堅調。だが、人手不足が深刻化する中、4月から施行される年次有給休暇の取得義務化への対応に苦慮」(金属製品製造)、「引っ越しや貨物配送など、年度末の配送需要がピークを迎えているが、深刻な人手不足から受注しきれない。賃上げを実施したが、依然としてドライバーの確保に難航しており、人手不足の解消にはつながらなかった」(運送)といった人手不足の影響を訴える声が多く寄せられた。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス19・1(3月比マイナス2・2㌽)と悪化を見込むものの、「好転」から「不変」への変化が主因であり、実体はほぼ横ばい。個人消費の拡大やインバウンドを含めた春の観光需要拡大への期待感がうかがえる。他方、人手不足の影響の深刻化や、原材料費の上昇、コスト増加分の価格転嫁遅れ、貿易摩擦の激化、世界経済の動向、消費増税の影響など不透明感が増す中、中小企業においては、先行きへの慎重な姿勢が続いている。
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