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企業ニーズに応じた実践的プログラムを提供 教育再生実行会議「第6次提言」概要(3月4日) 職業能力向上へ認定制度 学生の地方定着も支援

高等教育機関(大学型)への進学における 25際以上の入学者の割合(国際比較)

政府の教育再生実行会議(座長・鎌田薫早稲田大学総長)は4日、第6次提言「『学び続ける』社会、全員参加型社会、地方創生を実現する教育の在り方について」を取りまとめ、安倍晋三首相に提出した。提言の主なテーマは生涯学習の推進。職業能力向上へ企業ニーズに応じた実践的・専門的な教育プログラムを認定し、奨励する仕組みを構築する。また、子育て中の女性の職場復帰や再就職などを支援するため、大学における保育環境の整備、休学期間や在学期間の弾力化を求めた。さらに、学生の地方定着も支援。地域住民が学校運営に参加する「コミュニティースクール」を全ての学校に拡大することなどを盛り込んだ。

1.社会に出た後も、誰もが「学び続け」夢と志のために挑戦できる社会へ

社会人の多様なニーズに対応する教育プログラムの充実

○大学、専修学校などは、社会人が職業に必要な能力や知識を高める機会を拡大するため、社会人向けのコースの設定などにより、社会人や企業のニーズに応じた実践的・専門的な教育プログラムの提供を推進する。国は、こうした取り組みを支援、促進するとともに、大学などにおける実践的・専門的なプログラムを認定し、奨励する仕組みを構築する。

○大学、専修学校などは、民間企業などの多様な主体の参画の下で社会人教育プログラムを開発・提供する取り組みを推進する。その際、民間企業・団体や地方公共団体などと連携することにより、就業、起業、地域活動への従事などその後の実社会での活動に結びつくような支援を併せて行う取り組みも進める。また、国、地方公共団体は、地域や産業界のニーズを踏まえて、専修学校などの教育訓練機関を活用した公的職業訓練を一層推進する。

○国は、アスリートの引退後のキャリア形成について企業などとのマッチングや職業能力育成のための研修などの取り組みへの支援を行う。また、現役中から将来を見据えた必要な教育や職業訓練を受ける「デュアルキャリア」の意識をアスリートや指導者が持つよう啓発する取り組みを支援する。併わせて、これらの支援を一元的に実施できるよう、スポーツ団体、大学、企業、スポーツクラブなどの関係者が一体となってアスリートのキャリア形成を支援する体制(コンソーシアム)を構築する。

学びやすい環境の整備

○大学などは、時間的に制約のある社会人がパートタイムで学んだり、在学期間を弾力的にして学んだりすることが可能となるよう、履修証明制度や科目など履修生制度を活用するなど、仕事などと両立しつつ必要な単位を取得しやすい教育プログラムの提供を進める。また、大学などが提供する履修証明プログラムを受講しやすくなるよう、国は、履修証明制度を柔軟に運用する大学などの取り組みを推進する。具体的には、大学などが学修の節目で一定の評価を与えたり、インターネットによる学修を取り入れたりするなど柔軟なプログラムを提供する取り組みを推進する。

○社会人が、24時間いつでも学び、キャリアアップを図ることができるよう、大学などは、eーラーニングを活用した教育プログラムの提供を推進する。特に、放送大学において、資格関連科目の増設や、オンライン授業科目の開設、スマートフォンなどでの視聴への対応などを行う。また、単位互換制度の活用を通じた他の大学などへの多様な科目の提供を進めるとともに、さらなる学習者への支援策について検討を行う。

○国は、大学、専修学校などで、社会人が産業界のニーズに対応した実践的・専門的な学びを行う際の受講料などの経済的支援を充実する。このため、日本学生支援機構の無利子奨学金について、以前に貸与を受けたことがある社会人などの再貸与を可能とすることや、教育訓練給付金制度について、専門学校の職業実践専門課程や専門職大学院を対象とすることなどの措置が講じられており、これらの活用を推進する。また、社会人などのニーズに合ったさらなる方策を検討し、支援の充実を図る。

○国は、大学などの学修に加え、大学などの公開講座、各種の検定試験、通信教育など個々人が学んだ成果を蓄積し、その後の就業やさらなる学修に生かせるような学習成果の評価・活用の仕組みや、それらが社会的に認められるようにその質、内容を保証する仕組みを構築する。例えば、ICTを活用し、学習履歴を記録し、活用できる基盤となるような仕組みを整備する。

教育行政と労働、福祉行政の連携強化

○産業構造、就業構造の変化に伴い、社会人が学び続けやすい環境の整備や、社会経済の変化を踏まえた教育内容、方法の改善充実とともに、若者・女性・高齢者の就業支援などについて、文部科学省と厚生労働省が中長期的視野で検討する場を設けるなど、教育行政と労働、福祉行政の一層の連携強化を図る。

○その中で、事業主の協力も得て、社会人が、新たな知識・技能を身に付けるために、いったん仕事を離れ、あるいは、仕事と両立しながら学んだり、子育てや介護に従事中やそれを終えた後も学び続けたりできるようにする。そのための支援策などの条件整備についても検討し、何歳になっても自らを磨き、新たな挑戦をすることが真に可能となるための実効的な取り組みを進める。

2.多様な人材が担い手となる「全員参加型社会」へ

女性の活躍支援など

○大学、専修学校、社会教育施設などは、女性のスキルアップと、職場復帰や再就職などを支援する実践的なプログラムの提供を推進する。国は、そのようなカリキュラム開発を積極的に支援、促進する。また、子育てや介護に従事中の人が安心して学び続けられるよう、放送大学などによる、キャリア支援のためのカリキュラムを充実したり、子育て中の人のため、大学による子どもの保育環境の整備を推進したりする。

○大学は、出産・育児、仕事、介護などのために一旦学業を中断した人も、引き続き、学業を継続できるよう休学期間や在学期間の弾力的な運用を推進する。

○大学、専修学校などが女性のニーズに応えるプログラムを提供するに当たっては、産業界との連携や、各種の就業・起業支援策、事業主への助成措置などの活用を図りながら、学んだ成果が社会参画につながる支援を行う。また、地方公共団体、社会教育施設などとともに、結婚・出産などを機に離職した女性が地域活動に参画しやすくなるよう、NPOなどと連携し、学びからその成果をいかした地域活動までの切れ目のない支援を行う。

高齢者などの活躍支援

○地方公共団体、社会教育施設、大学などは互いに連携し、高齢者の知識、経験を地域社会に生かすため、シニア層向けのプログラムの提供を推進する。また、地域活動と連動した学習の仕組みづくりなどにより、人材のマッチングも含め、積極的な社会参画を促す仕組みを構築する。 例えば、地域活動を行うためのNPOなどの組織をつくる際、「肩書き」や「役職」を付与して、対外的な活動を行うなど、高齢者が参加しやすい工夫を行うことが効果的である。

○企業のミドル・シニア社員などが、退職後の地域での活躍のきっかけをつくるとともに、地域活動の活性化を図るため、国がイニシアティブをとって、地方公共団体、企業、NPOなどとの協働により、これらの人材が現役中から、地域における教育、文化、スポーツなどの活動に参画できる仕組みづくりを推進する。

○ベテラン教師の大量退職が進む中、その優れた指導技術、知識、経験を学校現場で若手教師に継承するとともに、実験・実習や体験活動など多様な教育活動を充実し、学校の教育力の維持・向上を図るため、国、地方公共団体は、学校における退職教師の積極的な活用を推進する。

障害のある児童生徒に対する支援など

○国、地方公共団体は、多様性を認め合う社会の担い手育成の観点からも、障害のある児童生徒が可能な限り障害のない児童生徒と共に、その特性を踏まえた十分な教育を受けることができる環境を整備し、教員の配置や特別支援教育支援員などの充実、交流や共同学習の充実などの取り組みを推進するとともに、全ての教師が特別支援教育に関する素養を備えることを目指し、専門性・指導力のさらなる向上を図る。

○国、地方公共団体は、高等学校段階における特別支援教育の充実を図るため、発達障害などに関する教職員などの対応力向上のための研修、自立と社会参加に向けたキャリア教育の充実などの支援体制の整備などを一層推進する。

○国は、2020年東京オリンピック・パラリンピックが、多様性を認め合う全員参加型社会への転換の契機となるよう、パラリンピアンを「違い・個性」をいかしたロールモデルとして、その活躍の場を、教育の場をはじめさまざまな分野において創出する。

不登校、中退、ニートなどの若者への支援

○国は、不登校や中退、若者のニート化を防止するとともに、こうした経験のある人の再チャレンジを支援するための総合的な政策パッケージを策定し、推進する。

○具体的には、フリースクールなどにおける多様な学びへの対応を含めた抜本的な不登校などへの対策を講じるとともに、中退者に対する学び直し支援を充実強化する。

貧困家庭への支援

○国、地方公共団体は、低所得世帯やひとり親家庭などの子どもの教育の機会を確保し、貧困の連鎖を断ち切るため、夜間補充教室など地域の協力による放課後や土曜日などの学習支援の取り組みを支援、促進する。また、子どもの成長段階に応じた教育費に係る経済的支援のさらなる充実を図る。

外国人の子供の教育

○外国人の子どもの適切な教育環境を確保することが課題となっており、国、地方公共団体は、学校における円滑な受け入れや、一人ひとりの実態に応じたきめ細かな日本語指導の体制整備、指導が必要な児童生徒を対象としたカリキュラム編成・実施など学校生活への適応を図る取り組みを進める。その際、日本文化を体験したり、母国の文化に触れたりして国際理解を深めることも重要である。

3.教育がエンジンとなって「地方創生」を

地域を担う人材の育成

○国、地方公共団体は、子供たちが、一定期間、地方での集団生活や自然体験などの豊かな体験活動を行えるよう、長期滞在型を含む農山漁村体験活動を支援する。 学生などの地方への定着など

◯地域活性化を担う人材確保の観点から、地方にある大学などへの進学、地元企業への就職などを行う者を対象に、奨学金の優先枠(地方創生枠(仮称))を設けたり、返還額を軽減する措置を講じる。入学定員超過に対する基盤的経費の取り扱いのさらなる厳格化など、大都市圏における入学定員超過の適正化も検討する。

教育機関を核とした地域活性化

○コミュニティ・スクールの拡大のため、制度面の改善や財政面の措置も含め、全ての学校がコミュニティ・スクール化に取り組むための抜本的な方策を講じるとともに、コミュニティ・スクールの仕組みの必置について検討を進める。

○過疎地域などでは、学校の場を活用して、地域住民の生涯学習や健康、福祉などに関する機能をも集積していくことが考えられることを踏まえ、その仕組みの在り方について検討し、取り組みを進める。

○高齢者が大学の近隣などに居住し、医療・生活支援サービスを受けながら、大学での生涯学習などに参加できるコミュニティ(日本版大学連携型CCRC(Continuing Care Retirement Community))を形成することについて検討し、モデル事業などを通じて全国展開する。

地域、家庭の教育力や、スポーツ・文化をいかした地域活性化

○地域スポーツコミッションなどの活動を促進し、障害者スポーツを含め、スポーツ大会やアスリートなどのスポーツ資源を活用した地方創生の取り組みを推進する。

○新たに「日本遺産」を認定する仕組みの創設、文化芸術活動の活性化など、文化資源を活かした地方創生を推進する。