少子高齢化が急速に進む中、若年者を取り巻く雇用環境も厳しさを増している。日本の将来を担う人材を育成すべく、教育支援や協力活動などキャリア教育を活発に行い、顕著な功績を挙げている好事例を紹介する。
横須賀商工会議所(神奈川県)は、市、市教育委員会と連携で平成20年度から、「よこすかで働く大人は、みんな子ども達の先生」をスローガンに、「中学生〝自分再発見〟プロジェクト」を実施している。地域で働く大人が子どもたちの教育に関わることで、「職業に対する興味」や「働くことの意味」を考えさせるとともに、地域の未来を担う産業人を育成し、将来の横須賀を活性化させることを目指している。
同プロジェクトでは、同所内に「横須賀キャリア教育推進事務局」を設置し、キャリア教育コーディネータを配置。教育界と産業界の橋渡しとなるべく、さまざまなカリキュラムを体系化している。プロジェクト開設当時は市内の2校のみの実施であったが、現在は市内の全中学校(23校)が参加。地元企業(約400社)の協力を得て、地元で働く大人=MTT(マイ・タウン・ティーチャー)が子どもたちに勤労観や職業観を伝えるキャリア教育プログラムを実践している。
主なプログラムは、MTTと生徒たちによる「働くこと」をテーマにしたグループディスカッションや、地域で営まれている仕事の仕組みを学ぶポスターセッション、職場体験に向けたビジネスマナー研修などだ。同事業は、生徒からも大変好評を得ているだけでなく、教壇に立ったMTTからも、改めて自身の仕事の意義を考えたり、仕事に向かう姿勢を見直すきっかけになると捉えられ、相乗効果を発揮している。
これらの取り組みは各方面から評価され、「第1回キャリア教育アワード小宮山審査委員長賞」「第1回キャリア教育推進連携表彰最優秀賞」などを受賞。また、各地商工会議所や関係団体などからの視察も積極的に受け入れ、キャリア教育の可能性を広げた好事例として、注目と期待を集めている。
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