明治43年に蚊取り線香の製造で創業した紀陽除虫菊。自然由来の成分を生かし、「人や環境に優しい」をモットーに、防虫剤や害虫駆除剤、洗浄剤、入浴剤などを次々と生み出してきた。その中で注目を集めているのが、「ドッグバス」だ。文字通り犬用の入浴剤だが、市場ニーズは限定的との当初予測を覆し、ペットサロンなどを中心にタブレットタイプが8万錠、パウダータイプが30万包と売れ行きを伸ばしている。
蚊取り線香メーカーがつくった犬用入浴剤
和歌山県の北部沿岸部に位置する海南市は、古くから工芸のまちとして紀州漆器や和傘づくりが盛んな一方、たわしやスポンジといった家庭で使われる日用品の一大産地としても知られる。そんな地に、蚊取り線香の製造で明治43年に創業したのが紀陽除虫菊だ。社名にある「除虫菊」とは、蚊取り線香の主原料に使用されている花で、和名を「シロバナムシヨケギク」という。マーガレットに似た白く可憐な外見をしているが、花の子房には天然殺虫成分「ピレトリン」が含まれており、人間には毒性がないため、昔から虫よけとして用いられてきた。
最新号を紙面で読める!