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「下町育ちの再建王」の経営指南 3〜5年先には世の中が変わる

行きつけのすし屋があったのですが、最近足が遠のきました。4年前に独立してオープンしたそのすし屋は、カウンターが10席という小さな店でした。開店当時、店主の友人が2年間の約束で手伝いに入り、2人体制でカウンター仕事をしていました。

オープンして2年間は実に心地よくすしを食べることができたのですが、手伝いがいなくなってからは、状況が一変しました。1人で10席のお客さまに対応しなくてはならず、常連客としては、忙しそうだと気を遣い、思うように注文ができなくなってしまったのです。注文しても出るまでに時間がかかったりすると、カウンターで気ままに食べるすしの醍醐味がなくなります。その上、ネタ管理の質も落ちてしまったので、食事に行くのがつまらなくなってしまいました。

すし職人は、一般的に1人で8人のお客さままで対応できます。超高級店やホテルでは1人で4人のお客さまを受け持ちます。それぐらいのことは店主も分かっていたはずです。2年後には1人の状態になると分かっていて10席つくったとしたら、自分1人になった時点で数席分椅子を外して対応しないと、それまでと同じクオリティーを保てません。

私たちのビジネスにおいても同様です。分かっていたのに未対応のままだった……という出来事がよく起きています。

世の中に大きな変化があると、人の心も大きく変わるものです。例えば、リーマンショックが起きたとき、日本人はこれまでの自分は正しかったのか、考え直しました。終身雇用が変わり、上司と部下の人間的関係は薄れ、敵対していても数字だけ上げれば良いという社内評価の在り方など、昔の良き日本とは違った欧米流では、どうなのか!?と立ち止まりました。また、大震災が起こるまで、心の通わない親子や夫婦の関係であったのが、絆が一番大事だということに気が付いて、家族での行動が一気に増えました。イギリスでは、久々に保守党が勝ったとき、まちの装いや洋服、車のデザインまで保守的な物に変わったということもあります。

世の中の大きな変化については、いろいろな経済学者が未来予測をたてていますが、日本人の私たちがはっきり分かっている未来の変化があります。2020年、オリンピックが終わったら、翌年から徐々に景気が悪くなっていく、ということです。

3〜5年後、すぐ目の前に変化の時期が迫っています。その変化により、どのような価値観が生まれ、何がなくなるのでしょうか? 年配者の過去の成功体験が使えない時代、「これが当たり前だ」ということが、当たり前ではなくなるわけです。その時にどうするか――。社内全体で考えるべき大きな問題です。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長 (前 船井総合研究所 代表取締役会長) 1947年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。84年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。2000年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。10年には代表取締役会長に就任。13年3月をもって退任し、現在は㈱風土代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

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TEL:03-5423-2323

担当:髙橋

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