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「下町育ちの再建王」の経営指南 現状維持は堕落である

先月は、過去の成功体験が通用しないような価値観の変わる時代が3~5年先にやってくる、という話を書きました。オリンピックが終わった後の景気後退のことを指しましたが、高齢化社会、明確な目標の喪失感、そして近隣の中国やロシアなどとの難しい外交関係など、先の見えない不安感が日本を覆うだろうことが想像されます。

それだけでも国民の価値観を変えるには十分です。しかし、世界に視野を広げると経済の急変の可能性は多々あります。

アメリカの有名な投資家ジム・ロジャーズは、来年の8月か9月には、アメリカやヨーロッパの株が暴落するかもしれない、と警鐘を鳴らしています。そうなると世界経済は大パニックに陥りますが、この可能性は5%ほどの確率だと私は思っています。ただし、数%の可能性であっても、リーダーはそれへの対策を考えておくべきです。

経済危機として、貨幣価値の急激な下落、ハイパーインフレを例に挙げると、ジム・ロジャーズはアメリカがデフォルトする(債務不履行に陥る)と、日本にハイパーインフレが起きる可能性がある、と言っています。万が一そんなことがあったら……と、想定したことはあるでしょうか。私の指導先の、ある企業では、そうなった場合を想定し、対策を決めました。パート従業員などの固定経費を削り、一年間、勉強会と社員教育などを徹底的に行い、次の事業を起こすのです。ハイパーインフレは一年あれば、収まるからです。

また、前にも紹介しましたが、2025年ごろに、中国が世界覇権を握り、東シナ海の海路をコントロールし始めた場合、中東から日本への原油は今のルートではなく、インドネシアの東側を通らなければ、入って来なくなる可能性があります。原油価格が急騰して日本の経済はどう変わるでしょうか。中国は地下資源を求めて尖閣諸島を取りに来るかもしれません。

北朝鮮の問題も、いつ何が起きてもおかしくない状況です。考えたくはありませんが、何かの間違いで日本は再び戦禍にまみれることがあるのかもしれません。

何か突発的なことが起きたときにはどう対処するか、また、このままオリンピックが終わって2021年を迎えた場合の自社の生き残りを考え続けてください。旅行者は減り、タクシーの利用者も減り、経済規模は縮小するでしょう。土地や建物の価格も下落したとき、日本の固定資産は外国人に買い漁られるかもしれません。

大きな変革期の到来がわかっているのに、何もしないということは、企業の存続を放棄することと同じです。『現状維持は堕落である』を、トップは肝に銘じてください。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長 (前 船井総合研究所 代表取締役会長) 1947年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。84年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。2000年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。10年には代表取締役会長に就任。13年3月をもって退任し、現在は㈱風土代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

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社名:株式会社 風土

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担当:髙橋

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