後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入と国民健康保険の財政支援を拡充する「医療保険制度改革法」が5月27日、可決、成立した。
法案では、高齢化などにより支払いが膨らむ国民健康保険の負担を軽減するため、会社員が加入する健康保険組合と公務員が加入する共済組合が支払う後期高齢者支援金の算定に全面総報酬割を段階的に導入し、平成29年度から全面導入することとしている。それによって生じた国庫補助削減分は、国民健康保険の財政対策に活用。被用者保険が国の財政責任を「肩代わり」させられることとなった。日本商工会議所では、被用者保険全体としての負担軽減策がない中での、現役世代間の負担調整に過ぎない後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入に反対していた。
法案にはこのほか、日商がかねてより要望していた、紹介状なしの大病院受診時の定額負担(平成28年度から)、入院時の食事代を段階的に引き上げ(平成28年度から)、協会けんぽの国庫補助率(16・4%)を事実上恒久化(平成27年度から)などが盛り込まれた。
今回の法案成立を受け、日商では、これ以上の財源捻出策として、介護納付金や前期高齢者納付金に総報酬割を導入することは到底容認できるものではないとし、今後も増大していく現役世代の拠出を抑制するための施策を講ずるよう求めていく方針だ。
最新号を紙面で読める!