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コラム石垣 2019年7月21日号 神田玲子

先月開催されたG20で、日本政府は、ある国際的な議論をスタートさせることに成功した。ここ数年、一握りの巨大IT企業がネットを通じて得られた個人情報を囲い込んでいるが、そうさせないようにするためのデータ流通に関する議論だ。しかしその一方で、政府は、老後に必要となる貯蓄額が「2千万円」に上るという試算を躍起になってお蔵入りにした。「21世紀はデータ駆動型社会」といいつつ、自分たちの都合に合わないデータはもみ消そうとしている政府の姿は、滑稽である。

▼政府は、データが誰のためにあるのかを履き違えていないだろうか。IT企業に網をかけて、他の民間企業にデータを開示させることを目指しているとすれば、それは間違いだ。最も重要なことは、データを市民に公開することにほかならない。もっと自由に、そして無料でデータにアクセスすることができれば、市民は自分たちの生活を豊かにしていく行動を選択することができる。

▼例えば、「2千万円」という額を聞いて、コツコツ貯蓄をしようと心を入れ替えるかもしれない。また、道路や鉄道の情報のデータに、随時アクセスすることができれば、データを見ながら混雑を避けられる。あるいは、電力利用量を知ることで、環境に配慮した暮らしを選択するようにもなる。

▼このように市民から収集したデータは、市民に開放されることで、当事者意識を呼び起こし、社会の課題解決を早める。日々の生活の中で、人々がデータを使いこなしている姿が、21世紀にはふさわしい。「データ駆動型社会」をうたう政府は、社会を駆動するのは、データでもなく、ましてや政府でもなく、市民であることを肝に銘じるべきだ。

(NIRA総合研究開発機構理事・神田玲子)

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