独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)はこのほど、「2017年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」の結果を公表した。今後3年程度の輸出方針については、「さらに拡大を図る」企業が67・8%と高水準が続くものの2年連続で減少した。人材不足などで輸出拡大余力に乏しい中小企業を中心に現状を維持する企業が増加した。調査は、ジェトロのサービス利用企業3195社(うち中小企業2591社)から回答を得た。
今後の海外進出方針では、「拡大を図る」企業の割合が57・1%と依然として過半を超えるが、前年(61・4%)から減少した。進出先における賃金・生産コストの上昇や労働力不足などが進出拡大に向けた課題として指摘されている。
一方、今後の国内事業展開方針では、「拡大を図る」企業の比率が61・4%と、比較可能な11年度以降で初めて6割を超えた。国内事業ではほとんどの業種で拡大意欲が増加、機能別では販売と回答した企業の比率が83・6%と最も高く、新製品開発(48・6%)、高付加価値品の生産(48・5%)が続いた。
「現在、海外に拠点があり、今後さらに海外進出の拡大を図る」と回答した企業のうち、拡大を図る国・地域については、ベトナムの比率(前年34・1%→37・5%)が3年連続で増加して2位に上昇した。中国(同52・3%→49・4%)は引き続き首位を維持した。主要国・地域ではASEAN6(69・2%)が中国(49・4%)を6年連続で上回った。ASEAN6の中では、ベトナムは非製造業、フィリピンは製造業の事業拡大意欲の増加が目立つ一方、タイやインドネシアでは事業拡大意欲の鈍化が続いている。米国は製造業の事業拡大意欲が縮小した。メキシコは特に製造業の事業拡大意欲低下が続いた。
中国、タイ、マレーシア、インドネシア。フィリピン、ベトナム、、ミャンマー、インド、米国、メキシコ、英国におけるビジネスを行う上での魅力・長所については、11カ国全てで「市場規模・成長性(市場規模)」が1位となった。ASEAN地域の国は今回新設した「親日感情」が2~3位に入った。前回調査(13年度)と比べ、ベトナムやフィリピンの「市場規模」、ベトナム、ミャンマーの「納入先集積」、インドの「人材の質」、メキシコの「人件費・労働力」、「コミュニケーション」の回答率上昇が顕著だった。今回、新設した「技術力」については、米国、英国に続き、インド、中国が高評価となった。
詳細は、https://www.jetro.go.jp/news/releases/2018/5f964b3f8b81717b.htmlを参照。
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