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事例で解説 下請取引適正化 vol.5

わが国経済の好循環を実現するためには、「下請等中小企業」の取引条件を改善することが重要です。本コーナーでは、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の違反事例のほか、公益財団法人全国中小企業振興機関協会がこれまでに実施したセミナーにおける質問や、日々寄せられる問い合わせの中から、特に参考になる事例をQ&A形式で解説します。今回は、下請法上、親事業者に課せられている禁止事項のうち、受領拒否の禁止についてご紹介します。

Q 納期を3月29日に指定して発注したところ、3月29~31日に棚卸をすることになりました。仕入先に書面で、棚卸期間は納入しないよう依頼することは、下請法上、問題となりますか。 また、指定納期の3月29日に納入された場合、預かり品として4月以降に受領とすることは問題となりますか。

A 指定納期に受領しないことや、指定納期に納入されたにもかかわらず預かり品として翌月に受領とすることは、いずれも下請法上は受領拒否に該当します。なお、下請事業者に責任がなければ、親事業者は指定納期に受領する義務があります。

棚卸期間中に納期が来たものについて、やむを得ず受領することができない事由がある場合は、下請事業者と十分な協議の上、翌月までの保管を依頼し、かつ下請代金は指定納期に受領したものとして取り扱い、併せて保管料相当額を支払えば、受領拒否の問題とはならないと考えられます。

Q 当社は、指定納期に納品しようとした下請事業者に対して、自社の倉庫に在庫が残っていることを理由として受け取りを拒否し、2カ月後に改めて納品をさせました。下請事業者も納得したので、下請法上、問題ないと考えてよいでしょうか。

A 下請法上、親事業者は、下請事業者の責に帰すべき理由(瑕疵の存在、納期の遅れ)がないのに受領を拒むことはできません。親事業者の在庫が残っていることを理由に受け取りを拒否することは、下請事業者の責に帰すべき理由がないことから、下請事業者が同意していても、下請法上、「受領拒否の禁止」の規定に違反することになります。

この他、「受領拒否の禁止」規定に違反する行為としては、例えば①生産計画を変更したことを理由として受領しないことや、②ユーザーからの仕様変更を理由として受領しないことなどが考えられます。

なお、下請事業者が了承したとしても、受領拒否を免責することにはなりません。

提供

公益財団法人 全国中小企業振興機関協会
(旧公益財団法人 全国中小企業取引振興協会)
下請取引適正化の推進を目的に、全国48カ所に設置された「下請かけこみ寺」を中小企業庁の委託により運営するなど、中小企業支援機関として各種事業を実施しています。
HP:http://www.zenkyo.or.jp

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