5万円で起業、ママのための商品でママの雇用創出
株式会社ルカコ 代表取締役 仙田 忍
ママの困り事を解決したい
赤ちゃんを楽に抱っこできる抱っこひも。育児中はこれを愛用していましたが、使わないときはかさばり、持ち運びに不便を感じていました。そこで抱っこひもの収納カバーを自分でつくってみたところ、とても便利で、「みんなにも使ってもらいたい」と思ったのです。これをきっかけに、5万円を元手に自宅で起業しました。
まず2千円で生地を買って商品をつくり、インターネットで販売しました。半年で月商100万円になりましたが、そうなると製造が追い付きません。そこで今度は「ママが働きやすい、休みやすい、短時間労働」をうたい、従業員を募集しました。私自身、働きたくても子どもの預け先がないとか、希望する勤務時間で働ける会社がないなど困った経験があったため、「お互いさま」の気持ちで募集すると70人の応募があり、30人以上を雇用しました。事務所勤務のほか、妊婦や介護中のママには自宅で縫製の仕事をしてもらうなど新たな雇用形態もつくりました。
また勉強会などを通じ知り合った方の紹介で百貨店での販売も始め、催事の際は縫製したママに売り場に立ってもらいました。お客さまから人気商品を聞かれ、「これがすごく人気です! 私が縫いました」と言うと、とてもびっくりされたそうです。「私がつくったものが百貨店に並び、直接ママにお渡しして喜んでいただけるのは本当にやりがいを感じます」と聞いたときは、この事業を始めて良かったと心から思いました。このように、製造から販売まで自社で行うことでこだわりの商品がつくれるだけでなく在庫管理もしやすくなり、小さい企業だからこそできる常時100柄以上の品ぞろえで他社との差別化やブランディングができたと思います。
「ママの時間をつくる」ことで人気の雇用先に
「今しかない大切なママの時間をつくる」。経営理念であるこの言葉は、起業時からの変わらない思いです。商号の「ルカコ」は子どもの名前、ルカとコウからつけました。5万円で始めた事業ですが、メディアで連日紹介され認知度が高まったおかげで、従業員を募集するとすぐに集まる人気の雇用先となりました。自分が困ったことを解決していくことで、同じようなママの忙しさを軽減する、便利でおしゃれに育児ができる商品をつくる、雇用を生む、ママの価値向上のため広報を行うなど毎日が楽しくて時間が足りません。会社もスタッフも成長してきたので、今後は次のステップである新ブランドをつくり、乳児だけでなく幼児、小学生のママのための商品やサービスを発表していきます。
弊社のこだわりは、たくさんのママの「困った」を一つ一つ解決し、大切な子どもとの時間、ママ自身の時間をつくること。物があふれている世の中ですが、売れる商品ではなく大切な誰かの小さな困り事を解決する商品をつくることで、モノではなくコトに価値が見いだされ、「ここで買いたい」につながるのではないでしょうか。
会社データ
社名:株式会社ルカコ
所在地:大阪府豊中市豊南町西3-10-10
電話:06-7505-2841
創業:平成25年
事業概要:製造・販売(育児用品)事業
※月刊石垣2017年1月号に掲載された記事です。
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