「女性ならではのアイデア」を形にしながら鳥取発の地域ブランド創出を目指す
ブリリアントアソシエイツ株式会社 代表取締役 福嶋 登美子
漫画を切り口に、愛する鳥取の「食」「文化」「観光」を発信
北欧視察が起業のヒントに
専業主婦だった私の最初の転機は、夫が家業のステンレス加工会社を継ぎ、社長に就任した平成10年のことでした。夫をサポートするべく総務部長を引き受けた私は、女性の感性を生かし、ステンレス加工の付加価値を「メタルアート」というオブジェ制作に結び付けようと、新商品開発チームを立ち上げました。事業は大成功し、大手ディスプレー会社や著名な華道家とのコラボレーションに発展。自社事業の建築業界から新分野への進出を、大きく後押ししました。
ちょうどそのころ、鳥取県の男女共同参画推進課によるスウェーデン視察の機会に恵まれました。国会議員、そして大臣の半数が女性というこの国では、女性の社会進出は当たり前。非常に刺激を受けたことを覚えています。そして、視察に際して知った、地元・鳥取県内の女性の就業率の高さにも驚きました。当時、鳥取女性の就業率は全国で2、3位と、素晴らしい数字。でも、そんな地域だからこそ、彼女たちが心から癒やされる場所も充実しているべきではないか。非日常的な空間で「美と健康に特化した癒やしのサービス」を提供すれば、多くの働く女性を応援できるのでは――。視察を通して国内外の現状に触れた私は、平成16年に起業。山陰地方初の、高級ホテル併設のエグゼクティブビューティーサロンを開設したのです。
「想いを形にしたい」と観光と食分野へも進出
サロンは順調に売上を伸ばし、現在では2軒が営業中ですが、その後も私の事業に大きな転換期が訪れました。起業から2年後の平成18年、観光地として人気が高まる鳥取市の賀露港に、市場料理の店を開店することになったのです。「美」「健康」というテーマに「地域資源」と「食」が加わり、私たちの事業は鳥取の食文化の発信へと広がりました。
もっと地域活性化に貢献したいという私の〝想い〟はさらに「漫画」「観光」「文化」というテーマを結び付けた「鳥取発の地域ブランド創出」へと動き出します。平成23年には女性をターゲットとして、少女漫画を切り口に「貴婦人になれるまち『鳥取』」を提案。『とっとり山の手物語』という架空の物語を生み出し、かわいらしい4姉妹や白亜の洋館で働く白うさぎ、といったキャラクターと連動させた観光プログラムをプロデュースしました。エコツーリズムを実現する三輪自転車タクシーを使った観光コース巡り(春夏限定)は、貴婦人の衣装で鳥取観光を楽しめると、女性客に大好評。鳥取空港を起点に、当社運営の食やアートにまつわるスポットを結ぶ周遊バス「貴婦人号」も運行中です。
昨年、10周年事業として開発に取り組んだ食品「華貴婦人のピンク華麗」(野菜のビーツで色付けしたピンクのレトルトカレー)も、おかげさまでヒットしています。当社の強みである「発想の転換」を武器に、これからも新たな商品の開発とサービスの提案を通し、地域社会に貢献できるビジネスを追求していきたいと思います。
会社データ
社名:ブリリアントアソシエイツ株式会社
所在地:鳥取市
創業:平成16年
事業概要:ビューティーサロンの運営、地域資源を生かした観光と食のプロデュース業など
※月刊石垣2015年3月号に掲載された記事です。
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