日本商工会議所は4月18日、麻生太郎財務大臣との懇談会を都内で開催した。日商の三村明夫会頭は、社会保障財源として、今年10月の消費税率10%への確実な引き上げを要望した。また、消費税率引き上げに併せ、中小企業の円滑な価格転嫁に向けた環境整備の推進、また、軽減税率制度導入に向けた事業者の準備を促す徹底した広報など、万全の対応を期すことを求めた。
懇談会には日商から三村会頭はじめ、尾崎裕副会頭(大阪・会頭)、山本亜土副会頭(名古屋・会頭)、上野孝副会頭(横浜・会頭)、立石義雄副会頭(京都・会頭)、家次恒副会頭(神戸・会頭)、深山英樹副会頭(広島・会頭)、福田勝之副会頭(新潟・会頭)、岩田圭剛副会頭(札幌・会頭)、藤永憲一副会頭(福岡・会頭)、田中常雅特別顧問・税制委員長ら14人、政府側からは、麻生大臣はじめ、うえの賢一郎副大臣、鈴木馨祐副大臣、伊佐進一政務官、宮島喜文政務官、井上貴博補佐官ら幹部14人が出席した。
三村会頭は、中小企業の足元の景況感や経営課題について説明した上で、消費税率引き上げ、円滑な価格転嫁に向けた環境整備、自由貿易体制の堅持、東日本大震災被災地への省庁横断的で一元的な支援の継続などについてコメントした。自由貿易体制の堅持については、「米中貿易摩擦など、保護主義の広がりに企業は不安を覚えている」と指摘。日本の発展には、グローバリズムの恩恵を最大限に活用することが重要であることから、TPP11や日EU・EPAの今後の活用促進に期待を寄せた。
また、6月に大阪で開催されるG20について、「議長国を務める日本の役割は極めて重要」と強調。「日本が主導的役割を発揮し、公正な貿易ルールの整備、自由貿易体制の推進に向けて、各国と大いに議論を深めてほしい」と述べた。
麻生大臣は、政権発足以来、東日本大震災からの復興、デフレからの脱却に最優先で取り組んできており、もはやデフレではない経済状況を実現したことを指摘。中小企業の活躍が、今後も日本の経済成長の核心という認識の下、財務省としても税制や予算措置を通じた支援を行っていく方針を表明した。中小企業の円滑な事業承継についても、抜本拡充を行った税制や予算措置を通じて切れ目のないサポートを続けていく考えを示した。また、消費税率引き上げや軽減税率導入に対する商工会議所の協力に感謝の意を述べるとともに、引き続きの協力依頼があった。
意見交換では日商側から、社会保障制度改革、財政再建、経済連携協定などを活用した中小企業への輸出支援、消費税率引き上げ・軽減税率導入に向けた商工会議所の支援、人手不足と生産性向上に向けたIT化支援、キャッシュレス化への対応、国土強靭化などについて発言した。
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