子どもの「足育」に着目し海外ブランド靴をネット販売
リリーアンドデイジー株式会社 代表取締役 麻生 満美子
第46 回全国商工会議所連合会神戸全国大会で「第13 回女性起業家大賞」最優秀賞に選ばれた麻生さんに、創業のきっかけや今後の抱負などを聞いた。
出産後の再就職かなわず自宅での起業を決意
12年間務めた大手電気通信会社を退職し、妊娠・出産を経験。長女が1歳を迎えたのを機に再就職を試みましたが、幼い子を抱えた母親がフルタイムの職に就く難しさを痛感し、起業を考えました。
ヒントになったのは、育児で外出もままならなかったころ、ささやかな楽しみだったベビー用品のネットショッピングでした。あらためてリサーチしてみると、国内のサイトで売られている衣類や靴は実店舗に比べて安価なものが多く、中でも機能的な子ども靴はスニーカータイプに偏っていました。
ところが海外のサイトには、素材や縫製に優れ、子どもの歩行レベル別に設計されたおしゃれな靴があふれていたのです。特に皮革製の靴は柔軟性や通気性、耐久性に富み、デリケートな子どもの足によくなじみます。日本にはそれらを扱う代理店は少なく、かといって個人輸入するには革靴1足につき2400円という高額な関税がかかるのが現状。しかし、経済産業省認定の皮革取り扱い業者向けの関税割当を使えば仕入れ価格の21.6%で済み、1足385円になることが分かりました。
「育児に追われるママたちが、上質で機能性に優れた子ども靴をいつでも気軽に選べる環境をつくりたい。ネットショップを通じて、同じママである私が子ども靴の正しい選び方や履き方を『足育』として発信していこう」
そう決心しました。幸い、わずかながら自己資金もあり、平成22年6月に起業しました。
ママだからできる! 他店にはない独自サービス
現在、30~40代の子育てママというメーンユーザーの支持を得て、当社の業績は好調です。運営スタッフにも地域のママを積極的に雇用しているため、お客さまのライフスタイルや気持ちに寄り添ったきめ細かい対応が可能になるなど、多くのメリットを感じています。
現在、当社が特に力を入れているのが、赤ちゃんが生まれて初めて履く〝ファーストシューズ〟をおしゃれな額に納めて永久保存できる「メモリアルボックス」の提供です。当社で購入された靴に、手づくりのシルクフラワーブーケ、赤ちゃんの名前入りプレートが付いた額装スタイルは育児雑誌などでも評判となり、平成25年度は約300セットを受注するヒット商品となりました。また、当社の商品はギフトとしての需要も高いことから、一般的に300円程度かかるラッピングを無料で提供。手書きのメッセージカードやのし掛け、手提げ袋もサービスし、大変喜ばれています。
ほかにも、ネットで商品を購入するお客さまの不安や煩わしさを少しでも軽減するよう、日々サービスの充実に努めています。中でも、最も大切にしているのは「商品とともに幸せと安らぎをお届けする」ということ。商品を見て、思わず笑顔になるお客さまの顔をネットの向こうに感じながら、これからも心がつながるビジネスを目指していきます。
会社データ
社名:リリーアンドデイジー株式会社
所在地:大阪府吹田市
創業:平成22年
事業概要:ベビー服、子ども靴のインターネット販売
HP:http://www.rakuten.co.jp/lilyanddaisy/
※月刊石垣2015年1月号に掲載された記事です。
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