日田商工会議所(大分県)は、江戸時代の陣屋「永山府政所」跡にその復元・再現を目指す取り組みを行っている。陣屋とは幕府の直轄地(天領)に置かれた代官所のこと。インバウンドも含めた観光誘客、交流人口拡大を目的に、天領日田の歴史・文化など地域資源の活用を図ろうとするものだ。
陣屋を復元し、核となる観光施設とするべく、同所は地域開発委員会にて事業内容を協議、検討。市内の郷土史家らを招いて歴史勉強会を開催し、現存する飛騨高山の陣屋を視察するなど2年にわたり復元の可能性や観光戦略を探ってきた。
現在、同所は市に復元の要望を出しているが、建物は明治時代に取り壊されて現存せず、詳細な図面も残っていないことから文化財としての復元に向けては課題も多い。陣屋を知らない人も多く、同所は市民に周知を図ろうと今年5月、陣屋が描かれた「森家絵図」を使ったポスターを300枚作成、市役所内に日田陣屋のPRブースを設けて復元模型と共に展示するなどPR活動を開始した。
「森家絵図」は文政年間の作とされており、ポスターには日田高校書道部の生徒が揮毫(きごう)。模型は日田林工高建築科の生徒による内部模型と地元の建築設計士が製作した復元模型を展示している。
同所の十時康裕会頭は、「市民の理解を得て、他の歴史資料も集約した観光施設として復元したい」と話している。
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