福岡県の南部に位置し、有明海に面している柳川市は、幕末までの永きにわたって、立花氏が治めた城下町です。当時の柳川城は、明治5(1872)年に焼失しましたが、掘割に囲まれた大変美しい城だったといわれています。
その「掘割」は、当地域が湿地帯だったことから、水はけを良くして田畑を成し、潤すために網の目のように巡らせた水路です。総延長は何と930㎞にも及びます。柳川の風物詩でもあります「川下り」のコースとなっているのが、この掘割です。
明治時代には、家々で舟を持って川遊びを楽しむ程度でしたが、柳川出身の詩聖北原白秋の少年時代を描いた長谷健原作の﹃からたちの花﹄が映画化されると、「あの川遊びを……」との問い合わせが相次ぎ、当時、当所が舟をつくり、川下りを始めたことがきっかけで、現在に至っています。
当市の人口は現在6万7千人。このような小都市ではありますが、西国無双といわれた復活の武将、柳川藩初代藩主・立花宗茂とその妻誾千代(ぎんちよ)姫を題材とするNHK大河ドラマの招致活動を、現在精力的に行っています。
何分初めての取り組みですので、ノウハウも活動資金も思うようにいきませんが、昨年8月には、市内の官民50団体で組織する「立花宗茂と誾千代」大河ドラマ招致柳川委員会を、同じく10月には福岡県や縁の地40団体で組織する広域的な委員会を各々立ち上げました。その後、専用ホームページやのぼり旗、ポロシャツなどを活用した機運醸成事業を行いながら招致活動を頑張っています。まだまだ一年足らずの活動ですが、長期戦は覚悟の上です。
立花宗茂公は、関ヶ原の戦いで西軍についたため、城を追われ浪々の身になりましたが、20年後に再封され、同戦いで敗れた武将の中で旧領に復帰した唯一の大名です。私たちも名乗りをあげた以上は、是が非でもこの活動が実現するまで、柳川のお殿様のように、真っ直ぐにそしてぶれずに粘り強く関係当局に訴えてまいります。
最近は、この活動の打ち合わせなどで、会社にいる時間よりも会議所にいる時間のほうが長いときもあります。また趣味のゴルフの回数もいくらか少なくなりました。
商工会議所会頭として地域振興のため、さらには、この活動を通じて、柳川の次代を担う子どもたちが、郷土の歴史に誇りを持てるようなまちづくりのためにも、頑張っていきたいと思っています。
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