日本商工会議所は5月19日、「新型コロナウイルスの影響長期化を踏まえた中小・小規模事業者の事業継続に向けた緊急要望」を取りまとめ、政府に提出した。3月6日の緊急提言、3月30日の緊急要望に続く第3弾。関係閣僚・国会議員・政府関係者などにも働き掛けていく。
現在、経営者は事業継続と雇用維持に必死に取り組んでいるが、新型コロナウイルスの影響長期化に伴い、家賃などの固定費負担が経営を大きく圧迫し、倒産や廃業のさらなる急増が強く懸念されている。
要望書では、刻一刻と厳しさを増す現場の声を踏まえ、地域経済の基盤を支える中小・小規模事業者の事業継続に向け、政府に対して、支援策がより迅速に広く行きわたる一層の体制整備・強化を進めるとともに、さらなる支援策の拡充と追加対策を実施すべきとしている。影響長期化に伴う、倒産・廃業防止に向けたさらなる政策対応と、影響長期化を見据えた、感染拡大防止と経済社会活動の両立支援の二つを柱としている。
倒産・廃業防止に向けたさらなる政策対応では、雇用調整助成金の円滑な申請・支給・上限額の引き上げや貸倉庫・工場・事務所の賃料助成制度の創設、不動産オーナーが賃料の猶予・減免などに応じやすい環境整備、地方創生臨時交付金の大幅な拡充、国による認定の簡素化・迅速化をはじめとする危機に直面している地域企業への支援、事業継続に資する環境整備などを要望。感染拡大防止と経済社会活動の両立支援では、緊急事態宣言解除後も直ちに流行前の経済社会活動に戻ることはなく、新たな感染拡大の防止と経済社会活動の両立に配慮した取り組みが段階的に移行していくための環境整備が不可欠としている。「新しい生活様式」に対応したビジネスや経済社会の推進の最大の方策はデジタル技術の活用であり、人手不足克服や生産性向上を変革する好機として、中小事業者などのデジタル実装への強力な支援を求めている。感染拡大防止と経済社会活動の両立支援として、緊急事態宣言の解除または再宣言に対するより分かりやすい基準の明示などと、中小企業におけるテレワーク導入支援の拡充や行政の対面手続き・書面手続きの抜本的な運用改善などデジタルを活用した新たな変革支援を要請。さらに、旅行や飲食、イベントの需要の回復に向けた今後の需要喚起・供給力向上への支援などが欠かせないとしている。
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