政府は5月14日、第38回未来投資会議を首相官邸で開催した。オンラインで出席した日本商工会議所の三村明夫会頭は安倍晋三首相らに対し、新型コロナウイルス感染症拡大への対応などについて意見陳述を行った。
会議で三村会頭は「商工会議所の調査では、緊急事態宣言下、需要が蒸発したような深刻な経営状況の中でも、4月中旬時点で、雇用をカットした企業は4%にとどまり、経営者は必死に耐えている。しかしながら事態が長期化する中、多くの経営者は心が折れるぎりぎりのところにおり、通常でも年間8万者ある廃業がさらに増加するのではないかと非常に心配している」と懸念を示した。その上で「何よりも、困窮する事業者に一刻も早く必要な資金が手元に届くよう、融資、雇用調整助成金、持続化給付金、臨時交付金などの制度の大幅な拡充および迅速化の実現が必要。特に、雇用調整助成金については、申請手続きに不慣れな事業者へのフォローを含めて、申請の着手から2週間で事業者の手元に資金が届くよう尽力いただきたい。そして、経営者がこれらの政策パッケージを駆使すれば、当面の難局を何とか乗り越え、将来に希望を持てるという強いメッセージを打ち出していただきたい」と要請。また、「事態の長期化に伴い、融資だけでなく、中小はもとより中堅、大企業も含め、資本対策も重要である。中小企業にとっても親会社が健全に存続することが、事業継続にとって必要不可欠」と訴えた。
安倍首相は、「日本は、国民の協力によりわが国のやり方で新型コロナ感染症拡大を抑え込みつつある」と応じるとともに、「経済においては大変厳しい状況が続いている。政府としてはしっかりと事業の継続、そして雇用を守り抜いていくという大きな責任がある」と表明。そのためにはもう一段の強力な対策が必要であり、雇用調整助成金の引き上げの検討や申請書類の簡素化、家賃負担を軽減するための給付制度の導入などの支援策を講じるとの考えを示した。
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