尾張名古屋は、戦国時代に信長・秀吉・家康という三英傑を輩出し、江戸時代は徳川御三家の一つとして栄えました。八代将軍吉宗の時代、享保の改革に異を唱えた尾張藩七代藩主・徳川宗春は、江戸とは正反対に芝居や芸事を奨励して消費の促進を図り、城下は大いに繁栄しました。これによって、名古屋には茶どころ・芸どころという伝統が生まれ、現代に至ったと言われております。
今ではそれにとって代わり自動車・工作機械をはじめとする「ものづくり」のメッカとして、日本の産業経済を支える地域として堅実に発展しております。その結果、都市としては江戸時代からの「遊び心」をしのぐ「産業力」が前面に押し出され、面白みの少ない都市や地域になっていると一部で言われておりますが、私どもは、この強い産業力をベースとして、今後さらに観光やグルメといった人を惹(ひ)きつける「まちの魅力」を付け加えていきたいと考えております。
私が会長を務める名古屋鉄道は、名古屋を中心に愛知県・岐阜県内に約450㎞の鉄道路線網を放射状に張り巡らし、125年間にわたり地域とともに歩んでまいりました。鉄道を中心として交通、運送、不動産、レジャー・サービス、流通、航空関連サービスなど、地域の皆さまになじみの深い幅広いグループ事業を展開しています。
およそ10年後のリニア中央新幹線の開通に合わせ、名古屋駅前地区をはじめとして大規模な都市の再開発を通じ、魅力的な名古屋の「まちづくり」を進めてまいりたいと思っております。
今年は明治151年にあたります。当社は文化事業として愛知県犬山市に「博物館 明治村」を経営しております。また、同地区に保有する「野外民族博物館 リトルワールド」や「有楽苑・国宝茶室 如庵」も含めた文化教育事業を通じて、地域の豊かな文化の継承や発展にも貢献してまいります。
当社事業が鉄道・バスを中心としてレジャー全般に広がっていることから、私は仕事も兼ねて心身のリフレッシュに有効活用しております。毎日通勤には電車を使い、歩くことや階段の上り下りを含め、足腰の鍛錬を心掛けております。その甲斐あって、カートのないゴルフコースでも夏・冬問わず楽しめております。また、野外遊園地から山岳ロープウェイなど、幅広い業種やエリアの現場をじかに見て回ることを通じて、楽しみつつ健康増進を図ることができております。
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