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コラム石垣 2017年4月11日号 中山文麿

世界的にフェイクニュース(うそのニュース)が飛び交うことが当たり前の世の中になった。トランプ米大統領も根拠もなく「オバマ政権が選挙期間中にトランプタワーに盗聴を仕掛けた」とか、自分に都合の悪いニュースはフェイクニュースだと切り捨てた。

▼もちろん、昔、戦時中などには敵に不利な偽情報を流したりする謀略はあった。しかし、平時においてこれだけいろいろな偽の情報が流され、それを信じている人が多いことはまったく尋常でない。

▼このような状況となった理由の一つにはスマートフォンなどのネット通信が著しく進歩したことにある。誰でも、どこでも、どんな種類の内容でも、その信用度は別にして自由に情報発信ができる。

▼また、既存の大手メディアの信頼性が大きく毀損(きそん)していることも理由として考えられる。米ギャラップによる調査では、共和党支持者の86%が大手メディアは信頼できないとしている。

▼昨年の米大統領選挙において、このメディアがトランプ候補の過激な主張を宣伝し、当初泡沫候補であった彼を大統領に押し上げたことは誠に皮肉だ。

▼トランプ大統領の側近も彼にとって好ましいうそのニュースはもう一つの事実(オルタナティブ・ファクト)だとして堂々と流す。

▼世界的に政治家がうそをつくことのハードルが低くなった。英オックスフォード大出版局は、昨年を代表する言葉としてこのような状況を表わすポスト・トゥルース(ポスト真実)を選んだ。

▼世の中、一般に知らないことや知らされていないことがたくさんある。一方、膨大な情報も流されているが、玉石混交であり、その情報のいかがわしさやうそを見抜く力、情報リテラシーをしっかり持ちたいものだ。

(中山文麿・政治経済社会研究所代表)

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