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コラム石垣 2017年4月1日号 中村恒夫

4月は入社式が行われ、職場に若い息吹が感じられる。一方で、かつてのように、同じ会社で生涯、働き続ける人ばかりではない。ライフプランに合わせて転職するケースもあれば、起業する若者も少なくない。日本ではベンチャー企業が育ちにくいといわれてきたが、その考え方は当てはまらなくなっていると思う。

▼全国商工会議所女性会連合会の「第15回女性起業家大賞」で優秀賞を受賞したフラワーギフト専門の株式会社Uca(本社東京都渋谷区)は今年で創業10年を迎える。片山結花社長は経営者としての基本姿勢として「つながりを大切にしてきた」と振り返る。掛け売りを断られることもあった開業当時。そのころから、経営者の会合に積極的に出向き、人脈を広げた。次々と人を紹介してもらううちに、法人顧客も増え、金融機関の信頼も得られるようになったという。

▼新しい会社が社会的信用を確立していくには、ユニークなビジネスプランだけでなく、経営者個人の信念や意欲をどこまで伝えられるかにかかっている。米国留学で経営学修士(MBA)を取得するよりも、すでに産業界で揺るぎない地位を持っている企業や経済人から、経営者として人物保証をされた方がはるかに有益だろう。片山社長の成功は、昔ながらの手法が、今も重要であると証明したと言える。

▼従業員を大切にする仕組みも欠かせない。女性社員ばかりの同社では、マッサージ代や帰省費用の一部を負担する制度を導入した。政府が進める働き方改革では、非正規社員の待遇改善と長時間労働の是正に焦点が当たっているが、個々の企業には、経営の実情に合わせ、従業員の働く意欲を高める工夫を凝らすことが求められている。

(時事通信社取締役・中村恒夫)

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