日商 Assist Biz

更新

コラム石垣 2016年10月11日号 中山文麿

先週、スーパー台風18号は沖縄の久米島を襲い、北上して韓国南部に甚大な被害をもたらした。台風号は沖縄の南海上で発生したと思ったら、次の日には九州沖に到達して西日本に記録的な大雨をもたらした。台風10号は103年ぶりに東北地方の太平洋岸に上陸した。それまでの動きは迷走そのものでブーメラン台風とも呼ばれた。

▼その名前の由来は、まず発生した場所が八丈島の東海上とまさに日本列島と目と鼻の先であった。その後、台風は北上するどころか南西方向の沖縄の東海上に移動した。そこで海水から膨大なエネルギーをもらって巨大化した。そして、一度来た道をたどって北上し、先に述べたように東北地方に上陸したからである。

▼欧州中期予報センターは台風10号がこのようなコースをたどることを、台風が沖縄の東海上で停滞している頃から既に予測していた。ただ、幸いなことにこの台風が伊勢湾台風並みに巨大化するとしていた当初の予測の方ははずれた。

▼今年の台風がこのように例年にない異常な振る舞いを見せたのは、日本近海の海水温が例年と比較してかなり高くなっているからである。北極海も2度以上高くなっており、氷が大幅に溶け出している。そのため、今ではオホーツク海経由でオランダのロッテルダムまで行ける北極海航路が開かれているほどである。

▼仮に、北極海の氷が消滅するとグリーンランド沖で沈み込んでいた深層海流の地球規模の大循環が異常をきたすのではないか。そうなればさらに世界的な異常気象の頻発が懸念される。先週、温暖化対策の国際的枠組みであるパリ条約が発効の運びとなった。この条約には違反しても処罰規定がないだけに各国の誠実な実行が求められる。

(中山文麿・政治経済社会研究所代表)

次の記事

神田玲子・総合研究開発機構理事

市場での「競争」について、進化生物学者から異論が出されている。ダーウィンの自然淘汰は、優れた生物が生き残ってきたというのではなく、偶然による環境変化に適したものが生…

前の記事

時事通信社取締役・中村恒夫

高度成長期には「結果を出せばいい。昼間にどこで油を売っていても構わない」という営業現場が少なくなかったとされる。会社への連絡があまりなくても、大きな商談をまとめてく…

関連記事

政治経済社会研究所代表 中山文麿

今回の米国大統領選挙は、トランプ氏を絶対に再選させたくない民主党と熱狂的な支持者からなるトランプ党との戦いだった。トランプ支持者は戸別訪問などどぶ板選挙も行い、前回…

時事総合研究所客員研究員 中村恒夫

アニメ映画「鬼滅の刃・無限列車編」が空前ともいえるブームを巻き起こしている。目を見張るのは観客動員数だけでなく、関連グッズの多さだ。二番煎じ以降になると、効果もそが…

東洋大学大学院国際観光学部客員教授 丁野朗

2015年に創設された「日本遺産」は、今年6月、新たに21件が認定、合計104件となり、当初予定の認定数に達した。今後は新たな認定は行わないが、そのさらなる磨き上げに力を入れ…