日商 Assist Biz

更新

コラム石垣 2015年10月1日号 丁野朗

公共空間を民の力で活用し、魅力的な水辺の地域再生を図る。こんな事業が各地で盛んになってきた。きっかけとなったのは平成16年3月の河川敷地占用許可準則の特例措置であり、各地で河川活用の社会実験が始まった。

▼その先鞭(せんべん)となったのが「水都大阪の再生」プロジェクトである。一足前の平成14年には「水の都大阪再生協議会」により「水の都再生構想」が取りまとめられ、平成21年には「水都大阪2009」が開催された。

▼社会実験「北浜テラス」では、土佐堀川左岸の河川堤防上にビルから突き出した「川床」が整備され、テラス前には浮き桟橋の船着場を設けて直接テラスに接岸できるようにした。もともと北浜には、船場の旦那衆が舟で料亭に遊びにくるという文化があり、「北浜テラス」は、その再生でもある。同じく道頓堀川では、南海電鉄が河川占用者として多様な民間事業者の利用を包括して管理している。

▼こうした河川利用は、全国で初めて水辺のオープンカフェを開設した広島市の京橋川、マイタウン・マイリバー構想の一環でナイトマーケットなどの商業施設を開いた名古屋市の堀川、かわまちづくり支援事業で小野川の河川沿いの歴史まちづくりを成功させた千葉県香取市(佐原)、大胆な河川改修により回遊性と都市のにぎわいを取り戻した北九州市の紫川など枚挙にいとまがない。

▼最近は、川沿いのフットパスなども人気だが、最上川沿いの山形県長井市などでは新たな観光集客手法としても活用している。

▼鬼怒川の決壊など痛ましい災害があったばかりだが、治水と利水、そして事例のような「親水」は表裏一体である。百年に一度の防災空間は、日々の利用こそが重要である。

(公益社団法人日本観光振興協会総合研究所長丁野朗)

次の記事

時事通信社監査役・中村恒夫

いわゆる「女性活躍推進法」が制定された。301人以上の従業員を雇用する企業は来年4月までに採用人数や管理職に占める女性の割合を把握。その上で、女性登用などの行動計画を当…

前の記事

文章ラボ主宰・宇津井輝史

夏の甲子園は盛り上がった。高校野球100周年の記念すべき大会にふさわしい好試合が続いた。話題の選手だけでなく、走攻守にわたり野球の醍醐味を示すプレーを見せた。逆転に次…

関連記事

政治経済社会研究所代表 中山文麿

今回の米国大統領選挙は、トランプ氏を絶対に再選させたくない民主党と熱狂的な支持者からなるトランプ党との戦いだった。トランプ支持者は戸別訪問などどぶ板選挙も行い、前回…

時事総合研究所客員研究員 中村恒夫

アニメ映画「鬼滅の刃・無限列車編」が空前ともいえるブームを巻き起こしている。目を見張るのは観客動員数だけでなく、関連グッズの多さだ。二番煎じ以降になると、効果もそが…

東洋大学大学院国際観光学部客員教授 丁野朗

2015年に創設された「日本遺産」は、今年6月、新たに21件が認定、合計104件となり、当初予定の認定数に達した。今後は新たな認定は行わないが、そのさらなる磨き上げに力を入れ…