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コラム石垣 2015年9月1日号 中山文麿

ギリシャは世界の人びとが一目置く民主主義発祥の地だ。この国の歴代政権は国民の歓心を買うために年金支給などで大盤振る舞いをした。衆愚政治の典型ともいえる構図で財政危機を招いた。

▼ギリシャの国民投票後に行われたユーロ圏財務相会議でチプラス首相はドイツのショイブレ財務相から「5年間ほどユーロを離脱して財政を立て直せ」と、ユーロ離脱か財政建て直しかの選択を迫られた。

▼この時、ギリシャ離脱が南欧諸国の財政危機に及ぶのを恐れたフランスのオランド大統領はギリシャの財政改革案を部下に作成させるなどしてギリシャとドイツの間を取り持った。

▼中国はギリシャのピレウス港を海のシルクロードの終着点と捉え、国有企業の中国遠洋運輸集団を通じて食指を伸ばしてきている。アメリカはギリシャが占める地政学的な重要性に鑑み、国際通貨基金(IMF)と一緒にギリシャの債務削減の要求に応じるよう呼び掛けた。

▼ギリシャが債務を返済するには、ユーロ諸国の要求する財政緊縮政策もさることながら経済の成長戦略が欠かせない。ところが、ギリシャには観光業と海運業しか目ぼしい産業がないのが辛い。

▼ユーロ圏の金融政策は共通の財政政策を伴って初めて有効に機能する。しかし、ユーロ諸国の財政政策は各国の裁量となっている。加盟国の経済力の格差を是正するために、日本の地方交付税交付金のように経済力の強いドイツから弱いギリシャにお金を入れる制度設計が必要だ。

▼いずれにしても、ギリシャ国民は痛みを伴うが一義的には借りたものは返すという大原則を守るべきである。ギリシャの哲学者のアリストテレスは言う。〝幸福とは行為の結果であり、与えられるものでない〟

(中山文麿・政治経済社会研究所代表)

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