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コラム石垣 2014年11月1日号 中山文麿

西アフリカ3カ国を中心にエボラ出血熱が猛威をふるっている。患者が路上の水溜りに放置されたままになっている映像には驚いた。世界保健機関(WHO)は緊急事態を発令し、上部機関の国連安全保障理事会でもこの問題が議論された。

▼西アフリカでは国境なき医師団から派遣された欧米の医者が罹患(りかん)したほか、スペインや米では看病していた看護師が二次感染した。9月中旬米疾病対策センター(CDC)は来年1月に感染者数が最大140万人にも達する可能性があると警告した。

▼この感染症は1976年スーダンで発生し、中央アフリカなどで流行った風土病だ。ザイール型やスーダン型など5種類あり、致死率も30%~90%と高い。空気感染しないことは不幸中の幸いだった。潜伏期間は10日前後で、発病すると1週間で死亡する。治療薬やワクチンがなく対症療法しかないのが辛い。

▼これまでアフリカの風土病は投資効率も悪いということで治療薬やワクチンの開発が行われてこなかった。唯一、アメリカの国防高等研究計画局(DARPA)はバイオテロ、つまりこのウイルスが生物兵器に使用された場合の対策として研究してきた。その成果としてZMapp治療薬などが開発された。臨床試験はまだ行われていなかったが、感染したアメリカの医師に投与されて効果が認められた。関係者も、ウイルスの拡大阻止のために必死である。

▼一方、世界の製薬業界も投資効率ばかりに目を奪われることなく人類に対する社会貢献の立場から治療薬の研究・開発を行ってもらいたい。われわれも、グローバル化の時代、この感染症が遠いアフリカの対岸の火事とすることなく関心を払って協力していきたい。

(中山文麿・政治経済社会研究所代表)

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