日商 Assist Biz

更新

コラム石垣 2014年10月21日号 中村恒夫

景気の回復傾向を背景に、来春の新卒予定者の就職内定率が高まっている。「売り手市場」とすらいわれるほどで、必要な人材の確保に苦しんでいる中堅・中小企業は少なくないようだ。その一方で、優秀な学生をきちんと集めている企業がある点も無視できない。

▼「大企業と比べると、知名度、安定性の面で負けるから仕方ない」と初めから白旗を掲げる経営者は、まず、採用競争で何が欠けているか、考え直してみる必要がある。確かに、就職にまで親が口出しするケースが増えている現代は、知名度と安定性が重視されがちだ。しかし、そういった面を超える特長を持っていれば、学生に十分アピールできるのではないか。

▼取引先・納入先の多さや、シェアの高い製品、独自のサービス形態などを自慢するのも悪くはないが、何よりも大切なのは、確固たる企業理念を構築することであろう。無借金だとか設備投資比率が高いといった経営手法ではなく、この企業は社会にどんな貢献をし、何のために存在しているかを明記するという意味だ。「経営の維持が精いっぱいなのに、そんなことを考える余裕はない」と思われるかもしれない。青臭く聞こえるとしても「自分の仕事は社会のこんな面に役に立っている」という『やりがい』を感じることが、就職先を決める際のモチベーションになり得ると、筆者自身、採用活動を通して感じている。

▼同時に、必ずしも新卒にこだわるべきではないと思う。最初に就職した企業と、どうしても肌が合わなくて退職した若者の中には、逆に自社に合う原石も含まれている可能性がある。それを見つけ出すことができるのなら、競争率の高い新卒市場に無理に参入する必要もない。

(時事通信社経理局長・中村恒夫)

次の記事

中山文麿・政治経済社会研究所代表

西アフリカ3カ国を中心にエボラ出血熱が猛威をふるっている。患者が路上の水溜りに放置されたままになっている映像には驚いた。世界保健機関(WHO)は緊急事態を発令し、上部機関…

前の記事

公益社団法人日本観光振興協会総合研究所長丁野朗

今年6月、ドーハで開催された世界遺産委員会で、富岡製糸場が晴れて世界遺産に登録された。▼富岡製糸場は、世界文化遺産の6つの登録基準のうち、「建築、技術、記念碑的芸術、…

関連記事

コラムニスト 宇津井輝史

インドでは街中を牛が闊歩する。神の使いゆえ、クラクションを鳴らしてはいけない。一方デリーのような大都会で猿が走り回り、生活圏でトラの恐怖と隣り合わせのインドは野生の…

都市にも「逆転」は起こり得る。パリの中央部をゆったりと流れるセーヌ川。今でこそ観光客でにぎわう名所だが、19世紀半ば頃は、異臭が立ち込めるコレラ菌の発生源であった。当…

政治経済社会研究所代表 中山文麿

先月、待ちに待った米製薬大手のファイザー社の40万回分のワクチンが日本に到着した。まず医療従事者から始まり、次に高齢者に接種される予定である。通常、ワクチンの開発に、…