政府は3月28日、「働き方改革実現会議」の第10回会合を首相官邸で開催し、「働き方改革実行計画」を決定した。実行計画では、同一労働同一賃金の基本的考え方や罰則付きの時間外労働の上限を示した。日本商工会議所の三村明夫会頭は、「本日示された実行計画は、日商が主張している内容も多数盛り込まれている」と評価。政府は今後、厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会の議論を経て、秋の臨時国会に関連法案を提出する方針だ。
実行計画では、同一労働同一賃金の導入については、「正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指す」と強調。また、昨年示された同一労働同一賃金ガイドライン案については、その実効性を担保するため、「裁判(司法判断)で救済を受けることができるよう、その根拠を整備する法改正を行う」と明記した。
時間外労働時間の上限規制については、原則月45時間かつ年間360時間とし、違反した場合は罰則が科される。繁忙期の特例として、労使が合意すれば、年720時間(月平均60時間)まで認められる。その場合でも、「単月では、休日労働を含んで月100時間未満」「2~6カ月のいずれの期間においても、休日労働を含んで平均が月80時間以内」「特例の適用は年6回まで」といった制限が設けられた。
現行で残業規制の適用除外となっている自動車の運転業務と建設事業については、改正法施行後5年間は規制を猶予。5年後に運転業務は年960時間(月平均80時間)以内、建設事業は一般業種と同様の規制を設ける。ただし、建設事業は復旧・復興の場合、単月で100時間未満などの規制は適用しない。また、医師についても、業務の特殊性を踏まえ5年後をめどに新たな規制を適用することとした。なお、新技術・新商品などの研究開発の業務については、継続的に適用除外とした。
三村会頭は、「計画を行動に移すための詳細設計が何よりも重要」と指摘。取引条件を含めて、大企業の働き方改革によるしわ寄せが中小企業に及ぶことがないよう、中小・零細企業の実態を十分踏まえた検討を要請するとともに、「働き方改革の重要性を政府、民間ともに、粘り強く訴え続けていかなければならない」と述べた。
安倍晋三首相は、「働き方改革実行計画の決定は、日本の働き方を変える改革にとって、歴史的な一歩」と強調。関係大臣に実行計画に従って関連法案の早期提出を指示するとともに、実行計画のフォローアップ会合を設置することを表明した。
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