日本商工会議所はこのほど、12月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果と共に、2017年度の所定内賃金の動向についてヒアリングした結果を発表した。17年度に所定内賃金の引き上げを実施した企業(予定含む)(全産業)は55・2%と、16年12月調査と比べ、3・5ポイント減少した。
賃上げが「未定」の企業は18・4%と0・3ポイント減少、「見送る」は26・4%と3・8ポイント増加した。賃上げした企業のうち、「業績が改善しているため賃上げを実施した」前向きな賃上げを行った企業は全体の23・0%、一方、「業績の改善が見られないが賃上げを実施した」防衛的な賃上げを行った企業は全体の32・2%に上った。
賃金を引き上げる主な理由は、「人材確保・定着やモチベーション向上のため」が89・0%と最も多かった。また、賃金の引き上げを見送る・未定の主な理由は、「今後の経営状況・経済環境が不透明なため」が68・0%と最多となった。
ヒアリングした企業からは、「来客数は前年比で増加し、業績の改善が見込めたため、定期昇給を実施した。冬のお歳暮商戦の売り上げは前年を2%程度上回る勢いとなっている」(百貨店)、「業績の改善は見られないが、賃上げを行った。来年度も厳しい見込みだが、人材確保・定着のため、引き続き賃上げを行わざるを得ない状況になりそうだ」(一般機械器具製造)、「夏頃までは、人材確保のため賃上げを行う予定であったが、秋以降、燃料費が上昇し採算が急速に悪化したため、賃上げは見送ることにした」(運送)といった声が寄せられた。
最新号を紙面で読める!