政府は11月29日、「働き方改革実現会議」の第4回会合を首相官邸で開催した。会合では、同一労働同一賃金などの非正規雇用の処遇改善について議論した。日本商工会議所からは、「同一労働」の定義を明確化することや「同一労働同一賃金」についてのガイドラインの策定などを求める意見書を提出した。
意見書では、「同一労働同一賃金という考え方が、『非正規労働者に対し不合理な理由による不利益な扱いをしてはならない』という趣旨であるならば、総論としては賛同する」としている。しかし、中小企業経営者へのヒアリングにおいても、「一見同じ仕事でも、責任の重さや会社への貢献は人により異なる」「同一労働の定義が裁判になるまではっきりしないのでは困る」「訴訟など労働紛争が増えて対応に追われては本業に支障が出る」といった意見が寄せられていることから、「同一労働」の定義を明確にすることを求めた。
また、「同一労働同一賃金」についての明確で分かりやすいガイドラインの策定を要望。策定に当たっては、政府案に対し各界が十分に議論・検討を尽くし、合意に至るまでの時間を確保するなど、適切なプロセスを経ることを主張した。
安倍晋三首相は、「正規と非正規の賃金差は、特に大企業において顕著であり、是正する必要がある」と指摘。「賃金はもちろんのこと、福利厚生や教育、あるいは研修機会などの処遇全般についても目を向けていく必要がある」と述べた。また、「次回は、正規と非正規で賃金差がある場合に、どのような差が非合理的で、どのような差は問題とならないか、実例を含んだ政府のガイドライン案を提示し、議論したい」と関係閣僚に作業を指示した。
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